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OTONA LOUNGE | Vol.6

石塚 沙矢香(現代美術アーティスト)熊澤 弘之(RIVENDEL代表)

   Text : Yoko Maeda
Photo : Tezro Hirano

かっこ良くてチャーミングな大人たちの現在、過去、未来…、その生き様や考え方を垣間見ることができ、Mirroirウェブの読者の皆様にもっと楽しい「今」、さらにポジティブな「明日」を提供する対談企画です。

毎月のゲストが翌月にはお友達を招き、ホストになるリレー形式で展開していきます。
今回は、前回のゲスト、熊澤弘之さんが現代美術アーティストの石塚沙矢香さんをお招きしてお届けします。

石塚沙矢香さんは、神奈川県大磯町在住のアーティスト。瀬戸内国際芸術祭、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレなど、さまざまな著名な芸術祭に参加しています。2014年5月から8月にかけて中国・上海でも個展〝Life Threads″「生生不息」を開催。国際的に活躍する若手アーティストとして注目されています。

職業・現代美術アーティストとは?

熊澤弘之さん(以下、熊澤):現代美術アーティストというのは、どういう職業ですか?

石塚沙矢香さん(以下、石塚):コンテンポラリーな美術をやっているアーティスト。たぶん、一番最先端なアートを手掛けている人のことですね。何が最先端かはわからないですけど(笑)、そういうくくりでやっているアーティストのことだと思います。

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熊澤:陶芸家とか、作家さんの知り合いもたくさんいますが、そういう美術家とかアーティストと呼ばれる人たちと、現代美術アーティストってちょっと違う感じがします。

石塚:現代美術をやっていても、画家と名乗っている人もいますね。

熊澤:沙矢香さんもご自身のことを「画家」と名乗ったりもするんですか?

石塚:私は自分のことを画家とは言いません。ただ、人によって画家とか彫刻家とか、いろいろな肩書を付けますね。私は絵だけを描いているわけではないですし、彫刻だけでもない。絵も描くし、立体物も作るし、空間全体を作るインスタレーションもやる。絵の人は画家、彫刻の人は彫刻家。で、私はインスタレーションという手法の人。インスタレーションというと言葉も長くてわかりにくいですし、絵も描くし、立体もやるので、現代美術アーティストと名乗っています。

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熊澤:なぜ現代美術アーティストを目指したんですか?

石塚:目指したというか行き着いたって感じですかね。小さいころから絵を描くのが好きで、高校生卒業後の進路を考えたときに、英語も国語も数学も社会も苦手で得意な科目がなかったんです(笑)。でも美術は好きだったので、絵を描こうと。それで美大に行きました。入学していろいろな美術展を見ているうちに、絵だけではなんだかつまらなくなってきたんです。美術展では、山の中に作品が飛び出していたり、山を背景にした彫刻があったり。絵だけではない、美術の様々な形を知ったことで、絵以外にもいろいろな楽しいことができるんだということを感じました。そうしたら、絵だけでは窮屈に思えてきたんです。空間全体を使ったアートがあるということを知って、私もそんな風に自由な表現をしたいと。絵に縛られたくないというか、好きな方法で表現がしたくなりました。

熊澤:現代美術アーティストってどうやったらなれるのですか? 陶芸家なら、先生のところに習いに行って、個展を何度かやって独立するというイメージですが。

石塚:気が付いたらなっていました(笑)。こうすればなれるという、HOW TO的なものはないですね。作品を作って発表をする。すると誰かが見てくれて、評価をしてもらえる。美術の世界ってそうやって、認められていくのだと思います。自分がアーティストだと実感したのは、人に頼まれて製作費をいただくようになってからですね。最近は慣れましたけど、最初はアーティストって呼ばれるのが恥ずかしかったですね。

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熊澤:アーティストって肩書、いいですよね。かっこいい。

石塚:公募に出してプランが通って作品を作れるようになったのが、2007年の冬くらいでした。そのときちょっとだけですけど、はじめて制作費をいただきました。うれしかった~。

熊澤:他の仕事に就こうとか考えずに、自然と現代美術アーティストになったんですか?

石塚:そうですね。大学でみんなが就活していても、就職に興味がなくて。アトリエで1人で絵を描いていて〝今日はみんないないなぁ″と思っていたら、就職説明会の日でした。

熊澤:「アーティストは就職なんかしないわよ!」って(笑)

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石塚:〝就活している時間がもったいない?″って思っていました。だから就職とか考えなかったですね。そんな時間があるなら、制作して発表した方がいいと思っていましたから。卒業後は当然アーティストとしては食べて行けず、お金に困ってアルバイトはしました。でも、就職という選択肢はなかったですね。

熊澤:それで結果が出ていますからね。

石塚:作品を作ること以外、何もできないんですよ。不器用で(笑)

意気投合して、おめで隊をスタート

熊澤:初めて会ったのはお店でしたよね。

石塚:おいしいって評判のお店に行ったら、熊澤さんがいらした。

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熊澤:その場で、ここ、リベンデルの企画展に出てください!ってお願いしたら、出てくれて。それからの付き合いになりますね。

石塚:あの企画展は楽しかったですね。和室の空間を使って、インスタレーションしました。陶芸やっている人やアクセサリーを作っている人たちがいて、その作家さんたちの作品を使って空間全体を飾りました。急須を浮かせてみたり、作家さんの作品を私がやりたいと思うように、自由に表現させていただきました。

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熊澤:そして、おめで隊が結成されました!

石塚:企画展では、作家さんの作品はその場で売ることができるけれど、インスタレーションのような私の作品は売ることができない。現代美術アーティストでお金になることとは、何だろうという話をしましたね。

熊澤:それで、おめでとうを送るおめでたい席をアーティストを中心に僕らで作れば、アーティストにもお金が入るんじゃないかと。

石塚:結婚式の飾りつけをすればいいんだとひらめいた。それは考えたことがなかったので、いいアイデアだなと思いました。それで、じゃあやってみようと。

熊澤:結婚式って式場で、松竹梅の3種類から選んでください、みたいな味気無さがあるでしょ。みんなきっとそうではなくて、もっと温もりのある式をしたいはずだと。

石塚:決められたものの中から選ぶのではなく、手作りのものがいいと。話し合いがすごく盛り上がりましたよね。

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熊澤:僕らのほかに、金工家さん、版画家、陶芸家、フェルト作家さんも一緒で。僕以外はみんなアーティスト。それだからなのか、その日のうちにロゴとかもできて、HPもすぐに完成した。あのときはみんな行動が早くて、びっくりしました。

石塚:まずは、グループ展のパーティーをやりましたね。

熊澤:参加費にオリジナルの取り皿を加えて。その取り皿は持ち帰れるようにしましたよね。

石塚:そして、私の結婚式もおめで隊で。

熊澤:そうそう、急に結婚します!って。じゃあ、おめで隊でやろうと。

石塚:セルフプロデュースは大変だったけれど、とても楽しかったです。

熊澤:結婚指輪まで手作りしていたよね。参加した人たちの満足度も高かった。そのあと、石塚さんに続けて、おめで隊のメンバーが続々結婚。実はおめで隊自体がとってもおめでたく、ハッピーがどんどん連鎖していった。

石塚:そうそう。結婚が続いたおかげで、おめで隊の動き方がなんとなく見えました。

熊澤:おめで隊を作ったときには、結婚式をプロデュースするのを最終目標にしていたのに、一番最初に結婚式を手掛ることになりました。本当は誕生日とか、【自分では祝わないけれど、誰かのためにお祝いよう】ということを手掛けることで、日々の生活に埋もれてしまう一日を、埋もれない一日にできたら素敵だなと思ったんです。そこに作家さんに仕事が生まれて、温かい日が生まれるたら、とてもいいつながりになる。

石塚:結婚式も、誕生日も、還暦祝いや入学祝いも、日常に普通にあること。そういうことを楽しくやろうってなったときに、おめで隊なら空間全体を作ることができるし、いろいろな人とのつながりがあるから、すべてのことが自分たちでできる。おめで隊って町の中の美術屋さん的なところで、すごく私にぴったりだと感じています。

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熊澤:以前から「お寿司屋さん、クリーニング屋さんの隣に美術屋さんがある、みたいな感じで町に存在していたい」って言っていたのが印象的でした。おめで隊は沙矢香さんの考える美術屋さんですよね。

石塚:私の中の美術屋さんのイメージは、「隣に住んでいるお姉ちゃんはアートっていうのをやっているらしいよ」っていう感じで自然にそこに居る感じです。「何か作品っていうものを作っているらしいから、今度物を作るときに頼んでみよう」とか「町おこしでアートを見せたいから、石塚さんに聞いてみよう」と声をかけてもらえるような存在というか。そういう身近な存在でいたいという思いはありますね。
「食」にフォーカスした作品作りをしていきたい

熊澤:話は変わりますが、ここが人生の転機になった、という出来事ってありますか?

石塚:大地の芸術祭 新潟の越後妻有アートリエンナーレという国際的な芸術祭があるんですけど、大学一年のときにこの芸術祭を見に行ったことが転機ですかね。会場がとても山奥にあって、道に迷いながら作品を目指すような芸術祭なんです。大自然の中にあるので、作品がとても大がかりで大胆。実際に泊まることができる作品もありました。ここでアートにはいろいろな形があることを体感して、経験して、気がついて。一年のときにこの芸術祭に行けたのはとてもよかったですね。

熊澤:越後妻有に出展したのは、“うおかめ”でしたっけ?

石塚:“うかのめ”です。うかのめとは食べ物を司る神様の名前なんですが、2009年の越後妻有に出展したときの作品のタイトルにしました。米を一粒一粒つなげて糸を作って、それを家の中にたくさん吊り下げた作品です。

熊澤:今回の上海の個展は、バージョンアップした“うかのめ”でしたよね。

石塚:そうなんです。今回の作品を作っていくうちに、食つながりで農業のことが気になり出したんです。東日本大震災のあとから、食べ物や食べることについてよく考えるようになっていて、もっと食そのものをフォーカスしたいと思うようになりました。越後妻有の時はそこまで深く考えていなくて、お米がおいしくてきれいで尊いものなんだよ、という思いと、新潟だからお米という単純なところから始まった作品だったんですが、上海の個展はもっともっと「食」ということを考えて作りました。

熊澤:見に行きたかったな~。

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石塚:上海で8月23日まで開催しています。飛行機に乗ってしまえば、すぐなのでぜひ見に行ってください。すぐですよ、すぐ!(笑)

熊澤:作品を作る上で、海外から影響を受けたりしていますか?

石塚:海外からはそんなに(笑)。結局日本ですね。ずっと住んでいるし、日本食が好きですし。海外に行くとそれが浮き彫りにされる感じがします。今回、上海で個展をしていますが、ギャラリーの人から「日本人アーティスト」という部分をフィーチャーしていいかと聞かれました。私的には、特に日本らしいとは思っていなかったんですが、海外の人から見るととても日本的なのだそうです。日本にいたら得られなかったことですが、海外の人と話すことで、私が普通と感じていたことが海外の人には理解が難しい、とても日本的な考え方なんだということを知りました。たとえば、お茶碗には魂が宿っているから大切に使わなければいけないとか、山には神様がいるとか、そういう感覚。それってなかなか海外の人には理解できない。私は古いものを使って、それを吊り下げて、物たちがおしゃべりしているような雰囲気の空間を作ったりするんですが、そういう感覚がとても日本的なのだそうです。特に着物を使うとか、そういう作品ではないですが、日本的な考え方が作品に見て取れるんですね。

熊澤:作品を見るとお米もそうですが、私たち日本人の身の回りの品、生活の中に必ずあるようなものを使っていますよね。今、一番興味があることは、やっぱり食ですか?

石塚:食べ物ですね。主人が農業をやっていることも関係があるのかもしれませんが、食べるものに興味がありますね。とっても。

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熊澤:今、おなかが空いているとか(笑)

石塚:若干減っていますけれど(笑)。畑とか田んぼとか、農業全般。自分の体を形作っているものに興味があります。

熊澤:個人的には、町おこしとかアートを巻き込んだイベントとかに、石塚さんみたいな人が参加してくれたら、面白いなって思うんですけど。

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石塚:私に出来ることなら、ぜひ手伝いますよ。

熊澤:越後も瀬戸内も市原も、過疎になって空き家がいっぱいできちゃったから、アートのイベントを開催していた。けれどそれでは遅いと思うんです。まだ町に人がいるうちに、芸術祭を開催した方がいい。そういうことをアーティスト側から町に提案できたら、いいんじゃないかな~と。今年、おめで隊でも芸術祭をやる方向で動こうと思っています。商店街とか、町単位ですけど。営業しているお店とアーティストがコラボして、新しい商品、新しいサービスが生まれたら、商店街が活気づくと思うんです。

石塚:地元が一番リラックスできて楽しめる場所なので、おめで隊の活動はこれからも続けていきたいですね。それと同時に、日本だけではなくて海外の人にも、いいなと思う日本独自の考え方をアートになぞらえて発信していきたいです。自分の生活をベースに自然に湧いて出た発想を大切にして、これからも作品を作っていきたい。そういう作品で、いろいろな国の人の反応を見てみたいですね。肩肘張って何かをするのではなく、なるべく等身大で表現して。頑張りすぎると、本来の力は発揮できないと思いますから、今後も自然体で頑張って行こうと思います。Mirroirの読者の方も私と同年代の方が多いと聞いています。やっと力を抜くことができる年代になったと思います。一緒に自然体でさまざまなことに挑戦していきましょう。

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石塚 沙矢香
(Sayaka Ishizuka)
1980年静岡県生まれ。女子美術大学芸術学部絵画科在学中の2003年に初の個展を銀座で開催。2004年女子美術大学卒業後、個展グループ展を多数開催。2007年頃からインスタレーションを主に制作をはじめる。2009年にニュージーランドでアーティストインレジデンスプログラムに参加。国内最大規模の芸術祭、越後妻有トリエンナーレ2009、瀬戸内国際芸術祭2013をはじめ、国内各地で作品を発表。現在、8月まで中国上海のPearl Lam Galleries にて個展を開催中。
http://www.sayaka-i.com
熊澤 弘之
(Hiroyuki Kumazawa)
飲料メーカー勤務時代に出会ったナチュラルフードカフェ&オーガニックガーデンの運営を経て、会員制の農園グリーンコミュニティと、古民家をリノベーションしたイベント・スタジオ「RIVENDEL(リベンデル)」を茅ヶ崎にオープン。泥愛好家としてワークショップ講師も勤める。また、日々に埋もれがちな”おめでとう”を伝えるための具体的なプランニングを行うアーティスト集団“おめで隊”のコーディネートも務める。
http://omede-tai.com/

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