Qorretcolorage - コレカラージュ

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愛される店

OSTERIA TOTTO 西麻布

   Text : Masami Watanabe
Photo : Kumiko Suzuki

Osteria Tottoは西麻布の裏路地に佇む隠れ家レストラン。
家庭的な料理と程よい感じに放っておいてくれる“心地良い空気”が漂う空間が多くの常連さんの心をつかんで放しません!私自身もトットは、時々訪れる美味しくて、大好きな場所。このお店の味や空気には何度も触れていますが、今日は改めてオーナーシェフの根本さんの半生や思いに触れてみたいと思います。

コレカラージュ(以下、コレ):まずは、オステリア・トットの5周年、誠におめでとうございます!

根本氏(以下、敬称略):ありがとうございます。皆様のお陰で、1月に5周年を迎えられました。

コレ:根本さんは、どうしてシェフの道を目指したのですか?実はそういうお話はしたことがなかったから、今日は楽しみにしてきました(笑)。

根本:確かに、あまり自分のことは話していなかったかもしれない(笑)。僕の親戚が東京下町で飲食店を経営していたので、子供の頃からごく自然にいつかはご飯屋さんをやるのだろうなと思っていました。親も含めて、親戚も料理関係の仕事に就いている人が多いんです。だから、物心ついたころには僕も大人になったら料理人になると思っていたようなところがあります。

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コレ:根本さんはサッカーをされていましたよね?かなりサッカーの強い学校にいて、大きな大会も経験されていると以前に伺いましたが、サッカー選手になろう、とは思わなかったのでしょうか?

根本:サッカーは5歳の頃からずっとやっていたので、高校生の時にはプロを目指したいと思ったこともありました。実は、高校1年の時にちょっとだけブラジル(サンパウロ)にサッカー留学にも行きました。高校はサッカーが盛んな埼玉の某強豪校に進んで、サンパウロでの短期留学を経験して、ちょうどJリーグが盛り上がってブームの時代だったから、進路=「サッカー」という選択肢があるにはあったのだけれど、ある意味でサッカーの現実というか、自分のサッカー人生の限界みたいなものも見えてしまった気がしたので、高校卒業と同時にスパッと辞めました。実は、それ以来、つい数年前までは特にサッカーとの関わりはなく、テレビでもあまり観ていなかったんですよ。

コレ:え!そうなんですか。どうしてそれほどまでに打ち込んだサッカーをスッパリ辞めて、方向転換できたのでしょう?潔いですが、何か大きなきっかけがあったのですか?

根本:僕がサッカーでプロを目指していた当時のJリーグでは、ごく一部のトップ選手を除くと、若い選手は同世代のサラリーマンとお給料も変わらないし、怪我などをしたら数年で戦力外にされたり、結構厳しかったんですね。それでもプロとしてサッカーを極め、海外の小さなチームでプレーを重ねている仲間もいて、彼らの話を聞くと、すごく羨ましくもあるんだけれど、僕は学生時代に全力を出し切った感があったので、もっと長い目でキャリアを積み直したいと思ったんです。

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コレ:それで料理に道に?

根本:はい。サッカーを辞めて、フレンチレストランで3年間修行しました。

コレ:ご実家は洋食店だったのですか?

根本:いいえ、和食です(笑)。

コレ:あら!(笑)
では、なぜ洋食に?しかも、フレンチから入門して、どうしてイタリアンに行き着いたのでしょう?

根本:ブラジル留学時代に、たまたま僕が過ごした地域がイタリア人の移民が多い地区で、今思えば、そこで食べたイタリア家庭料理の味が鮮烈に記憶に残っていたんですね。イタリア人のお母さんがつくるイタリアの地方料理で、温かくて、めちゃめちゃ美味しくて!その味を体がずっと覚えていて、フランス料理修業時代のある日、イタリア人のレオナルド・ヴァレオさんに出会ったことをきっかけに、イタリア料理を作りたいという気持ちが強くなって。

コレ:根本さんのお料理は、すごく丁寧につくられているけれど、どこか素朴で温かい。いつ頂いてもホッとする味というか、よい意味でクラシック。

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仲間で手づくりした店内。オープンキッチンでカウンターもあり、温かく落ち着いた雰囲気。

根本:そう、僕の基本はクラシックなイタリアの家庭料理なんです。お客様の嗜好もあるし、気候とか、時代とか、味の流行などもあるので、臨機応変にそこはアレンジして、バランスを取っていますが、原点はクラシックなイタリアン。だから、自分なりの挑戦(アレンジ)をしては一度原点に戻り・・・を繰り返しています(笑)。時には迷いながらも、でもちゃんと戻れる味があるからブレることはありませんね。見た目が美しいフランス料理のようなイタリアンもありますが、僕は派手ではないけれど変わらない(本当は変わっているけれど変わらないと感じられる)ホッとするイタリア料理を作り続けたい。

コレ:素敵!「実は変わりながら、でも変わらないように見える」って、老舗の鉄則ですね。自分のお店を出すきっかけは、どういう経緯だったのでしょう?

根本:そもそも、18歳で料理の道に入る時に、30歳になったら自分の店を持とうと自分の中では決めていたんです。

コレ:で、本当に30歳で?

根本:はい。ヴァレオさんに会ってから、数年間ずつ2軒のイタリア料理店で経験を積んで、ちょうど30歳で独立をしました。

コレ:予定通り!素晴らしいですね(笑)。

根本:ラッキーもありましたよ。このお店のロケーションも、色々な縁と偶然が重なって、他の物件は全く見ずにここに即決したんです(笑)。

コレ:え!どういうことですか?

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根本:トットの向かいにある北山創造研究所の社長、北山孝雄さんの息子さんと僕が友達で、ちょうど物件を探し始めた時に「向い側の中華レストランが出ていくみたいだから、そこでお店やったら?」と物件情報を教えてくれたことがきっかけで、他にはどこも見ずにトントン拍子で決まっちゃった(笑)。北山創造研究所は大きな都市開発なんかも手がけるブランディングやコンサルティング会社なので、そのプロのスタッフさんたちが内装を手伝ってくれたり、テーブルや椅子もご縁とタイミングで、無料で譲ってもらえたり、すごく恵まれていました。感謝ですね。だから、ここにはお金がかかっていないけれど、みんなの思いがいっぱい詰まった空間なんです。

コレ:わぁ、根本さんの引き寄せパワーはすごいですね(笑)。
色々な方に愛される根本さんは、間違いなく人間力があるわけですが、そんな根本さんから見て、この人ってすごいな、影響を受けたなと今までに思った方ってどんな方ですか?きっと沢山いらっしゃるとは思うんですけれど・・・

根本:うーん、いっぱいいますね。でも、あえて挙げるなら2人かな。まずはフランス料理界の重鎮のおひとりである鎌田昭男シェフ。そして、ここの物件でも、個人的にも色々とお世話になり、影響を受けている北山創造研究所の北山孝雄さんでしょうか。鎌田シェフは2日間ほど、一緒に食材を探す旅をしたことがあるのですが、70代のベテランにして、なお、料理に対する好奇心と探究心がものすごい。彼のそういった子供のような純粋な一面に触れて、この姿勢を持ち続けているからこそ、いつまでも第一線で活躍されているのだなと思い知らされました。あのブレない探究心は、料理人として僕はちゃんと持ち続けていかなくちゃと気づかされました。北山さんは、つまり僕からすると友達の親父になるわけですが、やはり70代にして、今もシャイで謙虚で、だけどパワーが半端なく、とにかく元気。自分のスタイルがちゃんとあるカッコイイ大人なのに、どこかやんちゃでかわいらしい。会うと、いつも元気をもらっているひとりで、憧れの大先輩です。

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「(サッカーを知らないから)トットにあるほうが有難みを感じて頂けるのではないか」と、同じ歳で交流のある書道家の紫舟さんから頂いたユニフォーム。

コレ:素敵な大人に囲まれているんですね。根本さんは、将来のヴィジョンとか、どのように考えていらっしゃるの?自分が70代とか、想像しますか?

根本:僕はこの店でずっと(料理を)作っていられたら幸せかな。生涯現役で。年商いくらとか、何店舗構えて・・・ということには、僕はあまり興味がなくて、結果的にスタッフが育った時に次のステージとして新しい店舗を用意してあげたいとは考えるけれど、店舗を増やしたいからという動機はないですね。

コレ:70代もここで料理している根本さん、いいですね。では、もっと近い未来はどうでしょう?例えば、2020年の東京オリンピック。何かで関っている予定や思いはありますか?その頃の自分やお店はどうしていたい?

根本:こんなこと言うと怒られちゃうかもしれませんが、僕はあまりオリンピックの東京を盛り上げようという気持ちはないです。僕自身は(オリンピックがあってもなくても)変わらずにいたい。変わるとしたら、今よりも料理が上手になっていたいということくらいですね。今より美味しい料理が作れるようになっていたらいいかな。

コレ:あくまで、良い意味での“変わらない”が軸なんですね。

根本:北山さんに言われた言葉でそれ以来、僕のモットーになったのが「一喜一憂しない」こと。いい時もあれば、悪い時もある。だから押し並べて見れば同じでしょう。忙しいときは一生懸命に働き、暇な時はできることをする。良い時も必要以上に浮かれず、苦しい時もジタバタしない。でもね、息子のサッカーの試合の時だけは、わかっていても一喜一憂してしまう(笑)。

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コレ:ブレないですね(笑)。いつだって、変わらない立ち位置があるんですね。
トットは、伊勢丹新宿店で御節の予約販売を行なったり、パスタソースを販売したり、ケータリングにも積極的な印象があります。ビジネスにおいては、様々なことにチャレンジしていますね?

根本:はい。昼のお弁当の予約も受けていて、毎朝、ランチの開店前にはお弁当作りと配達もしていますし、製薬会社の会議用弁当も承っています。

コレ:“変わらない”スタンスを貫く根本さんですが、料理とビジネスに対する考えはフレキシブルなんですね。

根本:美味しいという評価は自分で決めるものではなく、食べる人が決めるものでしょう。今では、インターネットで誰もが情報を発信できる時代だから、その発信の仕方で店の印象や情報をコントロールできてしまう。それを踏まえて、絶対に譲れない部分は守りつつも、頑固一徹になるのではなく、こだわりはあるけれど流行も知っていたいし、バランス感覚は備えていたいと考えていますね。

コレ:根本さんのそういう柔軟性のあるお人柄で、ここには様々なジャンルの面白い常連さんが集まるのですね。クリエーター、スポーツ選手、政治家、タレントさんや芸能関係者、日本を代表するビジネスマン・・・本当に各界のスゴい方々がお見えですよね?

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サッカー好きにはたまらない!元イタリア代表で、スター選手だったデル・ピエーロ氏のユニフォーム。

根本:独立前から応援してくださっている方々も多くいらして、本当にありがたいですね。

コレ:プライバシーに関することなので、ここでお伝えできないことが残念ですが、今までに来店された中でいちばん驚いたお客様がどなただったかは教えていただけますか?

根本:イトーヨーカ堂の伊藤雅俊会長です。まだお店を開業したばかりのころで、イトーヨーカー堂の前身となった店の話、第一号店の話など、色々な話を直接伺うことができて、感無量でした。

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やはり同じ歳の良き仲間であるブック・ディレクター幅充孝氏にアレンジしてもらったブックシェルフ。

コレ:わ!興味深いお話が聞けたのでしょうね。そういう、顧客との会話や交流、そして一期一会の出会いは宝物ですね。根本さんから見て、トットにいらっしゃるお客様に何か共通するところがあったりしますか?

根本:美味しいものを食べ尽くしている方が多いのかな。会食などで、高級店や話題のレストランに行きつけているから、ここに来た時は気軽に旨いものが食べたいと思っていらしてくださっているような気がします。だから、ほとんどのお客様が「お任せ」で注文する。こちらも、メニューにこだわらずに、できるだけお客様の食べたいものを提供できる隙間は持っているようにはしたいと思っていますよ。

コレ:最後に、根本さんから同世代の皆さんにメッセージをお願いします。

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根本:本当に好きなことをやってほしい。心の底から好きだと思えるものに出会う人生を送ってもらいたいですね。僕はシェフであり続けることができて幸せだと思っています。シェフはよく、人を幸せにする仕事だと言われますが、確かにそうだと感じる。普通にしていたら会えない人にも会えるし、僕の料理でみんなが笑顔になることは何よりの励みになります。けれど、同じものを作り続けることは簡単ではないし、実はものすごい努力が必要なこと。同じものを作り続けるためには、常に進化をしていなければならないし、苦しいことも伴います。でも、単純に“好き”という気持ちは強みでもあると思っています。僕は、店も料理もずっと進行形で居続けたい。これからも自分らしい変わらないスタイルで、好きな人に好きなものを作り続けていきたいと思います。

コレ:本当に好きなことに出会える人生・・・それを実践できている強さが根本さんのハッピーオーラの根源であり、オステリア・トットに素敵な面々が集まる秘密なのですね。ありがとうございました。また美味しいものを食べさせてくださいね。

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オステリア・トット
(OSTERIA TOTTO)
東京都港区西麻布1−8−16ライラックビルB1
Tel: 03-6438-9947
http://osteria-totto.jp/

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