Qorretcolorage - コレカラージュ

彩り重ねるコレカラの人生
大人のハッピーエイジングメディア

OTONA LOUNGE

矢島 沙夜子(アートディレクター/デザイナー)篠崎 恵美(フラワーアーティスト)

Text : Masami Watanabe
Photo : Kumiko Suzuki

June 27th 2015

かっこ良くてチャーミングな大人たちの現在、過去、未来…、その生き様や考え方を垣間見ることができ、Qorretcolorageウェブの読者の皆様にもっと楽しい「今」、さらにポジティブな「明日」を感じて頂く対談企画です。

毎月のゲストが翌月にはお友達を招き、ホストになるリレー形式で展開していきます。
今回は、前回のゲスト、篠崎恵美さんがアートディレクターの矢島沙夜子さんをお招きしてお届けします。

矢島沙夜子さんは、店舗設計/建築&グラフィックのデザイン会社KLOKAに所属する今、注目の若手デザイナー。ショーウィンドウ、展示会のインスタレーションから店舗設計、アクセサリーのデザイン、映像製作まで幅広くこなすクリエーターです。数々の話題作を手掛けている矢島さんですが、その独特の世界観で組み立てられる作品は、見る人をワクワクさせ、夢の世界に誘います。

またまた似ているふたり

篠崎恵美さん(以下、篠崎): 矢島さんとは、ROCKETというギャラリーでの展覧会に、お互いに参加していたことから、ギャラリーの方を通じて知り合ったんですよね。

矢島沙夜子さん(以下、矢島):そう。私はずっと前から、EDENWORKSという“お花をやられている方”として、篠崎さんの存在は知っていました。興味があって、調べてみると本当にすごい作品を沢山手掛けられていて、会ってみたいなと思っていたら、ROCKETの方から「ガッツがあって、矢島さんに似ている人がいるからぜひ紹介したい」と言われたのが、なんと篠崎さんでした。でもね、最初はEDENWORKSと篠崎さんが結びつかなくて、まさかずっと会いたかったEDENWORKSさんが篠崎さんだったんだ、と後から気が付く(笑)。すごいすごいと思っていたから、実際の篠崎さんがあまりにも話しやすくて、ちょっと嬉しい衝撃でした(笑)。もちろん、実際にとてもすごい方なんですけれどね。

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篠崎:私も以前からKLOKAの矢島さんの作り込んだメルヘンの世界はすごいなって思って、ROCKETでの展示や様々なアーカイヴを見ていましたから、同じようにギャラリーの方から「矢島さんはすごいよ。面白い人だよ」と聞いていて、ずっと気になる人物のひとりでした。だから、会えた時は、楽しくて、あれしたい、こんなこともしたいと盛り上がりましたよね(笑)。あれは、ちょうど1年前のバレンタインだったね。

矢島: そうですね。私がROCKETギャラリーでバレンタインの展示をしていて、その後が篠崎さんのホワイトデーの展示…みたいな企画で対面。ずっと知っていたし、近くにはいたんだけれど、繋がっていなかったのは不思議。出会いは1年ちょっと前になるけど、距離が近くなったのはごく最近で、やっと本格的にいろいろなことを話し始めた感じですね。篠崎さんのやっているお花の世界は私とは全く違う世界だけれど、好きなものや方向性が近い気がするので、一緒に何かできたらすごいなって、最強かもって思います(笑)。

篠崎:私も矢島さんと一緒にタッグが組めたら最強かもしれないって思っています(笑)。矢島さんも頭の中では結構想像を絶するようなことを考えているような気がする。でも、話し方が柔らかいから、そう見えないところがかわいいと思うんです。私自身も、仕事の時はかなり鋭いし、強いと思う。でも、本当の自分は、話し方は鈍いし、人見知りもすごいんですよ。ただ、お花を通すと話せる。矢島さんもちょっとそれと近い部分があるように感じていて、同じ空気感だからとても話しやすい。

矢島:たぶん、篠崎さんと仕事への向き合い方は似ている気がしますね。 仕事に没頭すると夢中でやってしまうタイプで、気が付くと3日間も仕事場に泊まったりしています。オーバースペックで、ギリギリまでとことんやってしまうタイプ。そうしないと気が済まないんです。同じようなタイプ(何かに熱心で一生懸命になっている人)には、格好つけなくてもいいし、分かり合える気がします。だから、篠崎さんとも仲良くなるのが早かったですよね。きっと篠崎さんも、熱い人で、仕事でクライアントと接しているときはかなり厳しい人になるんじゃないかな。だって、これ程までにキャリアを積んでいる方なわけですから、ふんわりしているだけでは絶対にそこまでは到達しないですよね。

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篠崎: 確かに、仕事のときははっきりと言うべきことは言いますね。独立して最初の5年間は、ひとりで何でもしていたし、足元を見られてなめられることもたくさんありましたから。でもね、私は自分のルールとしてダメなことはダメとはっきりお伝えしますが、基本的にはできることは何でも聞き入れて受けるようにしています。自分自身も、お店に行って「これありますか?」とか「こういうものはできますか?」と聞いて、何もせずに「ないです」とか「無理です」と言われたらゲンナリしちゃう。だから、どうしても無理なこと以外にはできるだけ対応したいと思っているんです。だって、こちら側が固定概念を打破すれば、できることもあるだろうし、全く同じではなくても何か近いことが提案できるかもしれない。きっと私はそれを繰り返してきたから、お客様もついてきてくれたのだと思うし、今があるのだと思う。私は矢島さんもそういうタイプなんじゃないかなって思ったんですよね。KLOKAさんは、良い意味ではちゃめちゃな作品が多いので、固定概念を取っ払わないと難しいと思う。

矢島:篠崎さんは、お花というある意味では閉ざされた特殊な世界で、固定概念を取っ払っていることがすごいと思いますね。私から見ると、お花の世界はとっても保守的な印象です。でも、その中で革新的でありながら、お客様の要望に対応するような当たり前のことをこなす柔軟性を持ち合わせているでしょう。私は、どちらかというと作ることに没頭できていると思うんです。会社に属しているお蔭で、苦手なことは他の人が補ってくれているから、それは有難いことだし、とってもラッキー。篠崎さんは全部をひとりでやっているから、本当に尊敬します。
KLOKAはデザイン事務所でありながら母体は設計事務所ですから、建築関係の仕事も多い。設計は規定も多く、色々な制限の中でデザインを考えるので、自由気ままに…とはいかないんですけれどね。

篠崎: 矢島さんも元々は設計の勉強をされたのですか?

矢島:大学では一応、空間デザイン系の学科に進学したのですが、ファッションデザインを中心にやっていたので、実は図面が描けないんです(笑)。KLOKAの代表が手を動かして物を作ることが好きで、ここのアトリエには様々なものを作る環境が整っています。私は、何か決まったことをしてきたのではなく、ただただ何かを作ることが好きで、面白いと思うことがしたくて、ここまでやってきている気がします。やりながら、手を動かしながら、力をつけている感じかな。

篠崎:矢島さんが面白いことをしたり、固定概念を取っ払えるのは、いい意味でファッションの頭だからなのかもしれないですね。柔軟で、「じゃ、やってみよう」といい意味で軽いというかね。私もファッションをやっていたから、ある部分ではその経験がお花にも活かされていると思う。

矢島:ファッションをやっていた影響は少なからずあるとは思いますね。それとね、思えば、元々子供のころから好きだったことややりたかったことにどんどん戻っている感じがします。大好きな物語の世界をどんどん掘り下げて広げていくとかね。私は昔から物語が好きで、いろんなことを空想して楽しんでいたタイプ。たとえば、机があったとして、この机はどんな角度で、どんな風に撮影して、ここの箇所を切り取ったらこんなものが出てきて…みたいに。

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篠崎:矢島さんはものすごく細部にこだわるタイプですよね?だから、今の机のお話も、どこをどんなふうに切り取っても、掘っても、ちゃんとオチがあるというか、きちんと中身が詰まっているんです。そこが本当にすごい!
それは、何かの時にふと湧いてくるの?それとも日常的に考えていることなのかな?

矢島: どっちもありますね。急に思いつくこともあれば、日ごろから空想を貯めている部分もあります。でもね、やっぱり中途半端になるのが嫌なんです。「え、これだけ?」みたいになってしまうことが怖くて、自分が納得するまで掘り下げてみる。結果、細部にまでこだわってしまうんですね。

篠崎:つい最近、ア二ヴェルセル表参道のウィンドウインスタレーションをされていましたね?あれも、とっても凝っていて素敵でした!あのウィンドウだけで、一冊の絵本ができそうなくらい、ディテールもしっかりできていて、素晴らしいなと思いました。いつまでも観ていられるねって、私のマネージャーさんと話していたくらいです。

矢島: 性格なのかもしれないけれど、どうしてもシンプルに簡潔に…ということができなくて、あんな風にどんどん広がっちゃう。広げちゃうっていうほうが正しいのかな(笑)。

篠崎:私もファッションをやっているときは掘り下げたいし、“細部まで考える派”でした。でもね、私の場合はどんどんアイディアが変わっていってしまうから、ファッションの仕事では勤まらないなって(笑)。お花の仕事に転換してからこれまで色々とやってきて、最近ではちょっとやり方が変わってきました。今まではずっとプラスする方向だったけれど、今度始めるお花屋さんはシンプルにしたいと思っています。自分の花の世界も今まではわーーっと広げていく感じだったけど、最近それが少し引き算になってきたんですよね。年齢を重ねたからなのかな。だから、矢島さんもこれから作風が変わるタイミングがあるかもしれない。その変遷も楽しみです。

矢島:今、そんな風に話せる篠崎さんはきっとよいキャリアを重ねてきたんでしょうね。きっと情熱的だし、気も短いですよね?(笑)それなのにそんなことが言えるのは、充実した仕事をいっぱいやってきたんだろうなと思います。素敵なことですね。私も見習いたい。今の私はまだまだやりたいことだらけ。私もいつかそんなことを思える日がきたら、それはきっといい仕事を重ねている証拠なんだと思う。篠崎さんはやるべきこと、やりたいことがちゃんとできている人なんだと改めて思いますね。

篠崎:そうなのかな?でもね、私は一生お花で生きていくんだということは、いつからか心に決めていました。お花の道を続けることには迷いはありませんね。 私の印象では矢島さんはアーティスト気質で、とても特殊な存在だと思うんです。KLOKAに属してはいるものの、ものすごくキャラがたっているし、大物になるオーラがすごくある。これからはどういう方向を目指していくの?

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矢島: 自分が作った作品を見て、いつも満足がいかなくて、いつまでも触ってしまうんです。本当であれば、会社でそれをやっていたら「いつまでやっているんだ!」という話ですよね?だから、それがある程度許される、とっても特殊な環境に置かせてもらっている自覚はあって、独立を考える年齢なのかもしれないんですけど、チームとしてでないと成り立たないということも感じています。私は一人ではできないかな。だから独立は考えていませんね。やりたいことは、今もこれからも多角的にものを作り上げていくことなので、私一人が手を動かす必要はないのかなと思っています。概念さえ、私のものだったら作品は作れる。分かりやすく言えば、映画がつくりたい。多重構造の世界を作っていられれば、私は幸せなんです(笑)。

篠崎: 映画!制限がないですね。可能性がいっぱい!

矢島:制限なしですね。やりたいことはいっぱいあります。ここ数年、インスタレーションをする機会があってジオラマを作ったんですけど、その時にひとつひとつの街の構成をどうするかいろいろと考えることがすごく楽しかった。それで、その時に考えたのが7つの大陸の話。7つの大陸があって、そのひとつひとつを様々な形式で紹介していく・・・みたいな流れで、最近の作品はこの話に基づいて展開しています。アニヴェルセル表参道のウィンドウもそうで、実は「7つの大陸と猫の舌」というタイトルだったんです。多重構造で、ウェブでストーリーが見られて、どこかで展示があって、いろいろな形で、時間差で見せていく。今はインターネットもあるので、情報が選択できる時代でしょう?だから皆さんに選択してもらえるように、様々な可能性で物語を広げて展開していきたいと思っています。

篠崎:すごいね。矢島さんは、そこにある雲がパッと消えてしまうようなものが得意な気がします。ステイするものではなく、変化していくもの。もっと言ってしまえば、儚いもの。一瞬はそこにあるけれど、パッと消えてしまう。非現実が得意でしょう?そこが、お花の儚さと少し似ている気がします。

矢島: そうかもしれないですね。分かる気がします。

篠崎:矢島さんの子供時代の話も聞いてみたい。どんなことをしていたの?

矢島:いつも絵本や映画を観ていましたね。ディズニーランドも大好きでした。とにかく、よくできた物語とか、抜かりのない夢の世界が大好物でした。今でもそれは全然変わってなくて、抜かりないファンタジーの世界があれば、いつまでも浸っていられる(笑)。
「ファンタジア」のレーザーディスクはすり切れる程、観ていましたよ。ディスニーの手法はやっぱり素晴らしいと思います。

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篠崎: 私も絵本や映画が好き子だった。妄想癖があったから、ひとりでハッピーに妄想していました(笑)。誰かと妄想を共有するとかではなく、自分でどんどん広げて物語を考えていました。矢島さんもそんな感じ?

矢島: 私も同じです!だから、今はそれをオフィシャルにやれる環境にいること、物語をつくる“手”を持ってることがとっても幸せです。

篠崎:私たちの共通点は、「儚いものが好き」「物語が好き」「好きな種類のファンタジーが好き」ってことでしょうかね(笑)。

矢島:私はね、以前に篠崎さんが「お花と魚は一緒」と言われた言葉がとても印象的だったんです。考えれば、考える程、その通りだなって。

篠崎:そう、だってどちらも鮮度が命だもの!お花は、まさに魚。

矢島:篠崎さんがお花の世界に入った経緯は?実はそれを聞いたことがない。

篠崎:それはね、ひとつ前のコレカラージュ「Otona Lounge」を読んで(笑)。
というのは冗談ですが、完全なる直感です。要所要所で、幸せなことに、私の直感が働いてきた気がします。根拠はないのだけれどね。とにかく、お花に関してはどんなに辛いことがあっても辞めなかったから、自分でもすごいなって思います。
基本的には優柔不断で、いつもはメニューも決められないし、本当にグダグダ。でも、お花のことになると、直感力が働くというか、スパッと決められる。むしろ、その判断スピードも速いくらい。市場でも即決するし、選ぶのも速いほうだと思います。決めるのも速い。どうしてなんでしょうね。朝、着ていくものもなかなか決められないのに(笑)。

矢島:ちょっと話がそれますけど、お花をつくるときは、最初にイメージをつくって、お花を選びに行くの?依頼があってから、どういうプロセスで進めるのでしょう?

篠崎:クライアントに、希望や要望をヒアリングはもちろんするんだけれど、それだけじゃなくて、それ以外のことを雰囲気で読み取るようにしています。この人はこんな感じなんだろうなとか、こういうものが好きなんだろうなっていうことを感じるようにしています。あえて、「こうですかね?」とは直接的に聞かない。あくまで、感じ取るようにしています。

矢島:なるほど。それで、最終的にイメージをお花に変換するところをどうやっているんですか?だって、他のものはイメージを共有しやすいけど、お花は難しいのかなって。例えば、「黒くてつやっとしたレザー」と言えば、ある程度同じような絵をイメージできるでしょう。でも、お花の場合、かなりいろいろあるから難しいのかな、と。もちろん、「真っ赤なバラで」となれば、話は違うのでしょうけれど。

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篠崎:そうね。だから、私は完全なる超直感型です。お花は市場で直感で選ぶことがほとんど。イメージは市場で変換しています。だって、季節によってイメージ通りのものが入手できないなんて日常茶飯事ですから、その場その場で臨機応変に選択しないと難しい。お花を1週間、ずっと探しているということもある。すべてが生きているから、完全なるライブ。だから、本番の日に体が動かなくなったらどうしよう・・・と、よく思いますよ。風邪はひかなくなりました。お花の仕事をして、自分自身が変わったと思います。
私の理想はね、「風が吹いたらお花ができている」みたいなことなんです。作業しているところ、努力しているところはあまり見せたくない。矢島さんは?

矢島:私は特定のクライアントの仕事はあまりやっていないので、お題をもらって、そこから考える。かなり自由な大枠の中で考え始める。たとえば、今回のアニヴェルセルみたいに、「ウィンドウがあります。展示をしてください。」というざっくりした条件の中からいろいろと考えて、自分の中に貯めていた引き出しを開けてみたり、ふわっと鉛筆を持って考える。考えが固まると、そこから猛烈に製作に入ります。そこから、もう少しフェティッシュ寄りの考え方になって、「こんな質感のもので」というように、第2段階は、かなり具体的にものを揃えていく。第3段階は、揃えてみたものとストーリーを繋げてみて、たとえば「青という色はこれでなくてはならない!」と、絞り込んでいくというか、きっちりと詰めていく作業をします。

篠崎:わ、なんか聞いているだけでワクワクしますね。

矢島:実は昔から好きな本があるんですけれど、その物語が案外と自分の空想のベースにあるような気がするんです。それはロシアの本で、マルコポーロと似た感じの内容。一章毎に、家来たちが王様に世界各地に出かけてきた話を報告するというものなんだけど、その描写のひとつひとつがすごく面白い。こんな風景で、その街にはこんな人が住んでいて・・・みたいな描写がとても細かくて、うまく綴られていて大好きでした。昔から、情景を想像したり,本には書いていないことを想像したりしていたんですよね。物語を掘り下げて肉付けして、想像することは得意だったから、本当に今はまさにその延長線上にいるんですよね、私(笑)。

篠崎:本当ですね。矢島さん、やっぱり素敵だな。ところで、KLOKAに入ったきっかけは何だったの?今のキャリアはどうやってスタートしたのかな?

矢島:大学卒業後は、しばらくの間はひとりで作家活動をしていました。一応仕事として、アーティストとしてフリーランスでね。きっと大企業に就職をするタイプではないと、漠然と思っていました。そのフリーランス時代に、たまたまKLOKAでアルバイトをさせてもらっていました。自分の仕事と、KLOKAの仕事をどちらもやっていたんですけど、自分の仕事が忙しくなると、アルバイトを休ませてもらって、そっちに励んで・・・みたいなことを続けていました。でも、あるときから、会社で引き受けていいよと許可をもらえて。それから、自分の仕事を会社に持ち込ませてもらって、そのままの流れでもう4年以上が経ちます。

篠崎:人生のピンチは?転機のような出来事はありましたか?

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矢島:毎回、仕事の納期ではピンチの連続です(笑)。今までも首の皮一枚で繋がってきたかんじです。でも、自分自身はどこか楽観的。根拠はないですが、絶対に大丈夫と思って生きてきているので、どんなにヤバい状況でも、なんとなく大丈夫だと思ってしまうんですよね(笑)。もしかしたら、まだ本当のピンチに遭ったことがないのかもしれないですね。

篠崎:「自分は大丈夫!」と思うことは大切なことですよね。実際にそう思っていればそうなるような気がするしね。では、何か強く影響を受けたものはありますか?

矢島:両親の影響は強いですね。両親は二人とも会社員ではなくて、音楽関係の仕事をしています。だから、進学とか就職活動というものに対して、口うるさいことを言うことが全くなかったんです。だから、のびのびと好きなことに打ち込める環境だったことは今思えば、よかったなと思います。それから、小学校の先生の影響は大きかったかな。あまり勉強しなさいと言わない、とてもおおらかな先生で、算数の授業も論文を書かされたりするんです。問題や課題があると、議論の時間があったり、必ず課題には向き合うというスタンス。不思議に思うことや知らないことをそのままにせずに、とことん考える教育方針で、しっかり考える力を養わせる。当時は分からずにやっていましたけど、今の仕事にはすごく役立っている気がします。

篠崎:とても面白そうな小学生時代を過ごしているんですね。

矢島:そうかもしれないですね。小さいときの記憶や経験が今の自分を作っているという実感はあります。そんな授業だったので、算数が案外好きだったんですよね。“どうしてこうなるのか”の追求みたいなことをしていたので、面白くて!篠崎さんは、子供の頃はどの科目が好きでした?

篠崎:私は図工や手を動かすことが好きだったけど、大人になってからは化学が好きになりました。お花を始めて、自分が変わったんだと思う。やっぱり自発的に疑問を持つことはいいことだと思いますね。

矢島:今は便利な時代だから、ちょっと知りたいくらいならウィキペディアが何でも教えてくれる。でも、あれでみても、頭や心には入ってはこないですよね。それに比べて、自発的に覚えたことや実際に経験したことは体に残る。だからいつも疑問を持てる自分でいたいとは思いますね。

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篠崎:えらい心がけだね。矢島さんの感性は本当に素晴らしいから、これからもその勢いでもっともっと活躍してほしいな。

矢島:やりたいこと、知りたいことはいっぱいあります。だから、きっとまだまだこの仕事を続けていくのだと思います。

矢島 沙夜子
Sayoko Yajima
アートディレクター/デザイナー
アートディレクター/デザイナー
1986年東京生まれ。クリエイティブスタジオKLOKAに所属し、インスタレーションやウィンドウディスプレイ、プロダクトのディレクションなどを中心に、アーティストのような立ち位置で活動する。最近では表参道ヒルズのクリスマスツリーの演出/デザインやKEITA MARUYAMAとのコラボレーション、蛇口からチョコレートの出るバレンタインの展示企画、”SECRET PATISSERIE"などをギャラリーで開催。2014年からはKLOKA PRODUCTSとして自社のプロダクトラインを展開している。
http://www.klokaworks.tumblr.com
篠崎 恵美
Megumi Shinozaki
Megumi Shinozaki
2009年独立。
独自の感性で花の可能性を見つけ、イメージを花で独創的に表現する。
花の一般的な業務の他に、ウィンドウや店舗の広告やカタログの大型セット、アーティスト写真やCDジャケット、ミュージックビデオやLIVEグッツ、スタイリストさんの衣装制作などにもお花を落とし込む。その他、ミュージシャンや作家さんの自邸、海外の個人邸のガーデンデザインから施工までも承っている。
http://edenworks.jp/