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世界にも通用する究極のお土産
〜東北編〜第2弾

Text : Masami Watanabe
Photo : Rumi Usui

コレカラージュの創刊“生”イベントでは、「究極のお土産〜全国編〜」(第1弾)より沢山の美味しいものが集まってくれました。あれから1年以上が経ち、今回は復興のチャレンジが続く東北から、様々な形の「美味しい」が大集結!

前回の全国版は観光庁が主体のプロジェクトでしたが、今回は復興庁の「新しい東北」官民共同PR事業として実施されました。1次審査、2次審査と数々の名品の中から選ばれたお土産。審査員の皆さんもそれぞれに独自の審美眼を持つ、強力なメンバーが勢揃いしました。

プロジェクトの総合プロデュースを手がける株式会社地域活性プランニングの代表 藤崎慎一氏の進行により、衆議院議員の小泉進次郎氏(2015年開催当時は復興大臣政務官/現 自民党農林部会長)をはじめ、多才なゲストを迎えて行なわれたシンポジウムと2次審査の会場にコレカラージュも伺ってきました。実際に、審査員の皆様と同じように試食をさせて頂き、生産者の皆さんからお話を伺い、日本の「美味しい」の可能性を強く感じた1日になりました。インタビューを交えながら、making of 「究極のお土産〜東北〜」をぜひ垣間みてください。

本の発売は、2016年の予定です。ご期待ください!

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シンポジウムから2次審査までフルに出席され、会場ではひと際、その発言に注目の集まった政界のプリンス、小泉進次郎氏。コレカラージュも色々と日本の、そして東北の「美味しい」についてお話を伺いました。

内閣府大臣政務官・復興大臣政務官(平成27年9月取材当時)
自民党 農林部会長(平成27年10月より)
小泉進次郎氏

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コレカラージュ(以下、コレ):今日の「究極のお土産」の審査に先駆けたシンポジウムでは、よいお話を沢山して頂きましたが、小泉さんは本当に日本各地に出向いていらっしゃるのですね。行ったことがないところはないくらい!どのお話も印象的でしたが、岩手県の闘牛と短角牛の話は知りませんでした。

小泉進次郎氏(以下、小泉):テレビドラマの「あまちゃん」ですっかりお馴染みになった岩手県の久慈市は魚が美味しいことが有名で、そればかりが目立ちますが、日本でも数カ所にしか残っていない闘牛が今でもあるんですね。僕は以前にそれを観たことがありますが、東北では“勝敗はつけない”というルールがあって、必ず最後は引き分けで終える。そして戦った後の短角牛を食べる風習があります。これが実に美味しい。赤身なので、コレステロールも低く、霜降牛よりも価格もリーズナブルなんです。今日も短角牛のコロッケやビーフジャーキーが出品されていましたが、味もよくてストーリーもあるので、こういう商品はいいですね。

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コレ:福島県の復興天然ハイボールも気になりました。

小泉:福島県の金山町は新潟県との県境にあります。そこには、本州で唯一の天然炭酸水が湧き出ていて、これでハイボールを作ったら美味しそうだなと純粋に思ったので提案してみたんですね。そうしたら、当時の町長さんがすぐに試してくれました。今では商品化されているんですよ。その土地に行かないと買えないけれど、「そこでしか作れない/採れない」とか「そこに行かなければ味わえない」って大切だと思うんです。そういうものにもっと注目してみてもいいんじゃないかと思います。

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コレ:ちなみに、この天然水は安倍首相がアウン・サン・スー・チーさんが来日した際に出されたそうですね。日本の良いものを海外に繋ぐサポートは国がもっとやるべきだと小泉さんは先程仰っていましたが、具体的にはどういったサポートなのでしょうか?

小泉:例えば、ドイツにシュトーレンというお菓子があります。そこには実は福島県の会津のお酒が使われているんです。海外への販路づくりをコツコツと頑張ってやっていらっしゃるところは沢山あります。きちんと良いものをつくり続けて、その上で英語のウェブサイトを作ったり、自分たちのあるネットワークから少しずつ拡大させていこうと努力している企業、地域、人にはやっぱり国はできることをするべきだと思います。我々政治家は、商売はできないけれど、海外との繋がりは作ることができますからね。今度、新たに岩手県の大船渡市のフィッシュ&チップスとイギリスとを繋ごうと考えています。

コレ:わ、それも面白いマッチングですね。

小泉:でしょう。では、パドロンという野菜は知っていますか?

コレ:知りません・・・

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小泉:スペインにパドロンという地方があって、そこの土地の名前がついた小さいシシトウのような野菜。スペインではそれを素揚げしてビールのおつまみとして食べるのが人気で、これを今、岩手県で育てていて、日本でも売り出しています。ビールと合うということで、ジワジワと人気が出始めているんですよ。その同じ畑でね、実はビールのホップやトマトも作っています。
俵万智さんの作品で「サラダ記念日」ってあるでしょう?実は、昨日は岩手県で僕の「トマト記念日」でした。

コレ:え?どういうことですか?(笑)

小泉:昨日は岩手にいたのですが、パドロンやホップ、トマトを作っている農家を訪れたら「小泉さんはトマトが嫌いらしいけど、美味しいトマトジュースを作ったからぜひ飲んでみて」と言われて。今までにも「うちのは大丈夫だって」言われて飲んで、全くダメだったことも多々ありましたから、今回もおそらくそのパターンになるのだろうなと思っていたんですけれど、これが本当にびっくりした!なんと、生まれて初めて、このトマトジュースは自ら進んで飲みたいって思った。そのくらい美味しかったんです。

コレ:今までのトマトジュースと何が決定的に違うと感じました?

小泉:甘味!!!!とにかく甘い。美味しい甘味。「これ、冷製のミネストローネだよ」と出されたら、そう信じてしまいます。僕は火が通っているトマトは大好きなんです。生だけがどうしてもダメでした。特にプチトマトが口の中で爆発する感じがダメでね(笑)。だけど、そのトマトジュースは本当に美味しくて、よく聞いてみたら、ぐるなびや食べログでものすごく評価の高い東京の某有名日本料理店でも使われているそうです。あえて、ここでは店名は公表しませんが、その日本料理店はお持ち帰り用として販売もしているそうです。

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コレ:一本おいくらなんでしょう?

小泉:一本、9500円です。一本あたり、ワインの瓶くらいの大きさです。トマトジュースだとは思えない価格ですよね。

コレ:9500円の価値はあると思われましたか?

小泉:どうしても生がダメだった僕が飲めるんですよ!どこに価値を見出すかはそれぞれ色々と考え方があるとは思いますが、すごいですよね。トマトそのものも、その加工法も素晴らしいと思います。だから、これは僕の「トマト記念日」でした(笑)。

コレ:なるほど、日本には野菜、海産物・・・いろいろな分野で素晴らしいものがいっぱいあるということですね。日本の「食」の、地方のものづくりの可能性は沢山あるということですね。

小泉:その通りです。だから、もっともっと自信を持ってもらいたいです。ブランディング、販路の拡大などのビジネス面は民間に頑張って頂いて、国は海外と繋ぐ場をつくるなど、できる支援を行なっていきます。日本の良いものがもっともっと広がっていくように、僕個人も期待しています。

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コレ:日本人の私たちがまずはもっと知る努力をして、理解して、日本のものづくりを応援したいですね。安さに流れてしまうことなく、きちんと良いものを見極められるようにならなくてはいけませんね。今日は、ありがとうございました。

豪華な審査員の皆様にもお話を伺いました。多くの皆様が第1回の全国版から引き続きの審査員。時間の関係で、すべての皆様のお話を伺うことが叶いませんでしたが、みんな日本が大好きで、日本の「美味しい」東北の「美味しい」を心から応援していらっしゃいます。

株式会社三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員
大西洋氏

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コレカラージュ(以下、コレ):今回の企画及び審査は2年前の初回全国版でも携わっていらっしゃいましたけれども、改めて「東北」版に関わられての感想をお聞かせください。

大西洋氏(以下、大西):私どもがちょうど4年前から「ISETAN JAPAN SENSES」というプロジェクトの中で、食だけではなくて、ファッションも含めたライフスタイル全般の日本の良いモノを紹介しています。日本には素晴らしいものがまだまだあるはずなので、それを自分達が勉強して知って、新しいサプライチェーンを作りながらご提案していく・・・という事が大切だと思っているんです。そういう意味では「究極のお土産」は、近いコンセプトの上にある企画なので共感しています。自分たちだけで日本の良いものを知ったり、学んだりするには限界がありますので、こういう企画があると自分たちだけでは辿り着けない商材にも出会えて嬉しいですね。少なくとも今回だけでも110以上の良いものに出会えているわけですからね。我々はそれを消費者の皆様に少しでも分かって頂ける力になれればと思います。
「東北」という土地については、震災があったからではなくて、元々自分達が取り扱っているものを見てみると3割くらいは東北のものでした。やっぱり東北には良い土壌があるのだと思います。だから今回も物凄く期待しています。

コレ:日本の「食」や地方でのものづくりに対して、未来の展望はいかがでしょうか?可能性はどのように見ていらっしゃいますか?

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大西:ポテンシャルはかなりあると思っています。シンポジウムで小泉進次郎さんも仰っていましたけれど、世界から見ると物凄く良いものでも、日本人自身がそれを良いと認識していないことが沢山ありますね。本来はみんなが日本独自の原料や材料とか技術力を再発見して、それを何かとコラボレーションするなどして新しい価値をつくり出し、そこから更にそれが海外でも認められるという良い循環がつくり出せたらいいと思うんです。
こんなことを言っている我々もまだ力不足で、海外から来ていただいた方に本当の日本らしいお土産や海外に持って帰って頂きたいお土産を十分に提案出来ていないのが現状です。だから外国の皆さんはやっぱり炊飯器を買われたり、ウォシュレットを買われたり、家電量販店に売られている3,000円くらいの南部鉄器を買って帰られる。本当はそうじゃなくて、もっと本質的に良い物をちゃんとお土産として、海外の方に持って帰って貰えるようにしたいですよね。
もっと日本の伝統的なものを、食も含めて、きちんと提案する場が必要じゃないかと思います。

コレ:そういった場所を三越伊勢丹グループでは作られていく予定ですか?

大西:そうですね。今度、銀座で免税店を初めてやりますが、そこでは「ジャパンプレミアム」というコーナーがありまして、そこに“日本の良きもの”に特化した物品を置いていきたいと考えています。

コレ:それは楽しみです!期待しています。本日はありがとうございました。

株式会社 地域活性フランニング 代表取締役
藤崎慎一氏

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コレカラージュ(以下、コレ):実は2014年8月30日に開催されたコレカラージュの創刊“生”雑誌イベントでは、前回の全国版の「究極のお土産」の中から7社に出展を頂きました。青森や広島、屋久島・・・と、日本全国から参加を頂きまして、様々な形の「美味しい」をご提供頂きました。
藤崎さんは、この企画に前回からずっとプロデューサーという形で携わっていらっしゃいますが、今回の「東北編」についての感想をお聞かせください。

藤崎慎一氏(以下、藤崎):東急百貨店の二橋社長と話していたんですけれど、前回よりもさらに質が高くなっているのではないかと思います。東北は北国のイメージがありますけど、素材の良さだけではなくて、“こだわり”がありますよね。物に対するこだわり方、作り方や加工に関するこだわり、素材の活かし方など、どこの点を見てもレベルが高い。

コレ:「良い素材×作り手の愛とこだわりの技術」で相乗効果!というわけですね。では、今回エントリーしているものの中で、個人的にこれは美味しかったなというものがあれば教えてください。

藤崎:いっぱいあります。いっぱいあり過ぎて、困っています(笑)。

コレ:皆さん、そう仰いますね(笑)。沢山あるとは思うんですけれど、中でも是非これは食べてみてというものをぜひ聞かせて頂きたい!

藤崎:お米の地酒カステラ、プチジェリチェリーですかね。あと、青森のリンゴのヴェール。以前にも食べたことがあったのですが、リンゴの花の蜜を塗ったプリンなんです。一個600円。全然今までのプリンとは違います。リンゴの花の蜜ですよ!リンゴの実じゃないんです。そのプリンは、材料と手間と味を総合すると600円でも安いと思いますね。ぜひお勧めしたいです。

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コレ:それはぜひ食べてみたいですね。とても気になります。
藤崎さんは日本の食文化や地方の食産業の可能性や未来をどのように見ていらっしゃいますか?

藤崎:私も小泉進次郎さんと同じ考えで、日本の良い物やこだわりは海外に出てみて改めて分かることだと思うんですね。僕自身がそれほど海外に行ったことがあるわけではないですが、ちょっと出て、外から日本を見直すと「とても丁寧だよね」とか「こだわっているよね」とか、「安心安全だよね」とか、様々な良い指摘を受けるし、素晴らしさに気付かされます。日本は「技術」を生み出す国。日本の技術の代表にはパナソニックやソニー、トヨタやホンダといった名前が挙げられます。これから世界の職人市場でも日本の技術はどんどん求められていくと思います。日本製品ももっともっと求められるようになると思っています。だからどんどん良い事例を出していかないと。どうしても、島国だから引っ込み思案な性質というのがありますけど、どんどん遠慮なく出て行ってアピールをしなくてはね。食の市場では、イタリア商材が3兆円、フランス商材が12兆円と言われています。けれども、日本はもっと上位になれるんじゃないかな。全然勝てると思いますよ。

コレ:では、日本の食の未来は明るいですね。

藤崎:そもそもこのプロジェクトのプロデュースを引き受けたのは、そういった良い事例をつくるためのきっかけにしたくて、国だけに任せるのではなくて、我々も積極的に良いものを知って、一致団結して世界に出ていきたいと考えていたからです。日本のレベルは相当高いですから、やり方をちゃんとすれば、必ず世界で通用すると信じています。

コレ:そうですね。そうなって欲しいですね。では、「究極のお土産」も第3回、第4回と今後も続いていきそうですね。期待しています。

藤崎:はい。またやりたいですね。そのときはまた取材に来てください。

コレ:もちろんです!

タベアルキスト
株式会社味の手帖 取締役
月刊誌「味の手帖」 編集顧問・主筆
マッキー牧元氏

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コレカラージュ(以下、コレ): 初回の『究極のお土産』に続いて、今回2回目の審査員を務められましたが、その感想を教えてください。

マッキー牧元氏(以下、牧元):前回は全国からの応募で、今回は東北の“美味しいもの”限定ですから、食材は前回よりは絞られてる感じがするんですけど、そんなことはあまり感じないくらい商品に工夫があるなと感じましたね。他にはないものを素材で勝負している名品もありましたけど、他にはない工夫で仕上げているものが際立っていたように思います。

コレ:審査とは関係なく、個人的なおススメはありますか?

牧元:まあ、お土産とひとくちに言っても、いろんな部門がありますからね。お菓子部門でのダントツは鬼胡桃のお菓子ですね。あえて品名は言いません。本の中からぜひ探して頂きたい(笑)。ご飯のお伴部門では、海藻の佃煮。パッケージは素朴でしたけど、味は最高でした。そして、金華サバの薫製もとても良い感じでしたね。あと、調味料部門ではオイスターソース。これが僕個人としては素晴らしいと思いました。

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コレ:マッキーさんの考える最良のお土産の定義はどんなものでしょう?

牧元:お土産って、先程も話した通り、お菓子部門、調味料、ご飯のお伴・・・のようにまず、カテゴリーが様々あると思います。味も大切ですが、時にプレゼンテーションも重要ですね。用途によって、選ぶ基準は違うと思うんです。でも、一番 大切なのは「値段とのバランス」。もの凄く良いもの、美味しいものでも、やっぱり高額過ぎてしまうとちょっと考えちゃいますよね。

コレ:確かに、“お土産”というのは少し気軽なほうが双方にとってハッピーに感じられるのかもしれませんね。

牧元:そう、やっぱり2000〜3000円くらいですよね。せめて5000円以内。だって、1万円のものを頂いたら、貰う方もちょっとプレッシャーに感じませんか?

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コレ:そうかもしれません。お土産文化は日本特有の素敵なものですから、構えることなく気軽に贈り贈られたいですね。ところで、食の観点から見た、日本の食産業や各地域の産業の将来的な展望や可能性はどのように見ていらっしゃいますか?

牧元:今回も審査に携わってみて、作り手の皆さんがものすごく商品に対しての思い入れとアイディアを持っているんですね。そこには関心させられましたし、可能性を感じますね。ただ、概ねその発信がものすごく下手な傾向にあることも否めません。そこは勿体ない。
「これはどこで売っているんですか?」と聞くと、すごく狭いエリアでしか販売されていなかったり、「これをどういう風に展開していこうと思っているんですか?」と聞いても、パンフレット1枚を作っているだけだとかね。非常に勿体ない気がします。他の似たような商品がどのくらい存在していて、その中で自分の商品がどの位置にあるのかということがよく分かっていないんじゃないかと感じることが多い。

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コレ:平均的に、リサーチ不足ということなんでしょうかね?

牧元:それはありますね。やっぱりもっともっと作り手も勉強をして頂きたい。良いものを作るだけじゃなくて、せっかく良いものを作ったのだから他の商品の勉強をして、それらに勝つ為にはどうするのかを考える努力をしたら、もっともっとビジネスとしても広がるように思います。
製造と販売は別ですからね。

コレ:「良いものづくり+徹底的なリサーチ」が鍵ですね。日本の美味しいものづくりの更なる発展が楽しみですね。ありがとうございました。

株式会社料理通信社 代表取締役
坂西理絵さん

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コレカラージュ(以下、コレ):初回版に続きまして、今回の第2回も審査に携わられた感想を聞かせてください。

坂西理絵さん(以下、坂西):今回は「東北」エリアに限定された中での審査だったのですが、復興だからということではなくて、“ひとつの地域の良いもの”という目線で見た時に、非常にレベルが高いものが沢山あると感じましたし、とても魅力的だなと思いました。

コレ:具体的にどのような魅力や特徴が見られましたか?

坂西:やっぱり地域柄、東北は海のものと山のものの両方ともが充実していますね。ふたつの特徴があって、ひとつは、とってもローカルな昔から地元で愛されてきた製法や味付けのもの。もうひとつは、世界に向けての開発を意識したもの。日本の食文化のルーツにはない、例えばオリーブオイルや西洋の食文化圏の方にも受け入れて貰えるだろうなという方向で商品化されているものも多く見られて、興味深かったですね。
作り手それぞれの、自分たちはこういう方向で商品を打ち出していきたいのだ!という思いとヴィジョンが商品に表れていることが凄くいいなと思いました。やっぱり、そういう思いの込められた商品は応援していきたいと思いますよね。

コレ:今回審査された中で、個人的に坂西さんのお気に入りを教えてください(笑)。

坂西:気になったものがいっぱいありすぎて。ひとつに選べなくて、困ったなって思ってるんですけれど・・・(笑)。

コレ:ここでは、あえて審査とは別に個人的にこれは食べてみてほしい!という、坂西さんのオススメを教えて頂ければ嬉しいです。

坂西:個人的にとっても気に入ったものは、北三陸ファクトリーさんの竹籠に入っている4つの海産珍味。帆立の冷燻、水タコの冷燻など。オリーブオイルはイタリア産のものをお使いなんですけれど、それ以外の食材は全て北三陸産のもので、かつ調味料の山椒を含めたスパイスや食材は全て地元のものを使っていらっしゃいます。竹籠も伝統工芸で、1日にひとつしか作れないのだそう。差し上げた方にその後でもいろんな用途で使って頂けるという手作りの竹籠で、とっても気が利いていると思います。

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コレ:これは確か1万円の詰め合わせでしたね。お土産としては高級な部類になりますが、自分では買えないけれど頂いたら嬉しい!という、“取っておきのお土産”にするには素敵ですね。

坂西:そう、これは「ここぞ」という時に差し上げるギフト。食品と伝統工芸を両方上手くひとつの商品に落とし込んでいるところが素敵だなと思いました。

コレ:最後に、日本の食文化や地方のモノづくりの未来への可能性をどう思われますか?

坂西:可能性はものすごく感じますね。こんなに小さい国なのに、日本は地理的に南北に長くて、それぞれの地域で多様な食文化がある。それ自体が外国の方からすると驚くべき事だと思うんですね。その上、それぞれの土地の魅力として発信していくだけの食材の種類と個性があり、伝統的に作られてきた製法や食べ方にも地域の独自性があります。
既に和食は世界的にも健康食として知られていますが、時間をかけずに食べられるものがあるだとか、保存が効くだとか、実は各地に残る伝統の中に新たに今私達の生活に活かしたい要素がたくさん眠っていると思うんですね。もう一度、そんなところに目を向けてみると、さらに可能性は広がるのではないかと思います。

コレ:なるほど、その通りですね。例えば、乾物とかもそうですし、雑穀を食べるという豆の文化なども、現在外国の方たちが注目する“マクロビオティック”そのものですね。そういう切り口から興味を持った人が、その視点で日本食に興味を持ったりすると、まだまだ日本食は広がっていけますね。

坂西:よく考えてみたら、日本人は元々とっても豊かで多様な食文化の中で生きてきたんですよね。だからもっと自信を持って、改めて自分の足元にある食文化を見直してみよう!と言いたいです。

コレ:ではポテンシャルは大いにあって、将来も期待が持てますね。

坂西:ぜひ期待したいですよね。私もお手伝いできることをしたいと思っています。

コレ:これからも日本の食文化のためにご尽力くださいね。よろしくお願いいたします。

株式会社 地域活性フランニング
LJマルシェ リーダー
木庭清美さん

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コレカラージュ(以下、コレ):このプロジェクトに携わられた感想をお聞かせください。

木庭清美さん(以下、木庭):私は1次審査からずっと携わらせて頂いていまして、1次審査だとどうしても書類の中だけで判断をせざるを得ないので、どうなるのかなと思いながら見ていたのですが、実際に今日の2次審査を迎えてみて、通過されたどのメーカーさんもとても熱い想いをお持ちで、それが伝わってきます。商品の魅力はもちろん、安心安全で身体に良いという点についても、単に「良い」だけではなくて、“何年も前から○○で作られているもので、こういった風に健康面にもいい”と、上手にプレゼンされる。どこのブースでもストーリーを聞き入ってしまって、楽しくて、いい意味で審査がなかなか進まなくて困りました(笑)。

コレ:個人的には、何が良かったですか?オススメをこっそり教えてください。

木庭:いっぱいありましたけれど、「甘いもの」の中で選んでいくか、「辛いもの」の中で選んでいくか、どっちにしようかすごく迷いました。

コレ:審査員はそれぞれ1票ずつなんですか?

木庭:審査員は各1票で、ひとりが1品ずつ選ぶ仕組みです。代表の藤崎も選びますが、ひとりでは選びきれないので、編集部全体で知恵を分け合って選んでいるところです。個人的に気に入ったのは、プチジェリチェリー。さくらんぼが丸ごとゼリーなんです。あとは、岩手の魚介類の珍味をその土地の伝統工芸の籠に入れたもの。地場産のものを総合で魅せるなんて、素晴らしいなと思いました。

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コレ:日本の食文化や地方産業の未来への可能性をどうお考えになりますか?

木庭:私は仕事柄、日本中の様々な地域に行かせて頂いていますが、岩手県の久慈にも行っていますし、静岡県の河津も行ったことがありますが、やっぱり行く先々に必ずその土地ならではの美味しいものがあります。先月はニューヨークにも行ってきたんですけれど、ニューヨークって素敵なものや美味しいものは沢山あるのですが、味に関しては日本のほうが格段に上で、バラエティも色々とあって美味しいと感じました。日本には素晴らしい商品がいっぱいあるので、世界に持って出れば、絶対にウケると信じています。みんながもう少し、あと一歩前に踏み出して外に出て行けたらいいのにと、強く思いますね。「究極のお土産」や私たちの日々の活動がそうしたことに少しでも役に立つのなら嬉しく思います。

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コレ:素敵なお仕事をされていらっしゃるんですね。ぜひ日本の良いものを後押しして頂きたいです。期待しています。ありがとうございました。

株式会社ディーンアンドデルーカジャパン 代表取締役
横川正紀氏

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コレカラージュ(以下、コレ):今日の審査を終えられた感想をお聞かせください。横川さんも前回に続いて、2度目ですね。

横川正紀氏(以下、横川):はい。前回もそうでしたけれど、出品数がすごく多くて一次審査は食べることが出来ない中で選ばなくてならない。我々は8名のバイヤーチームで審査にあたっていますが、2次審査ではできる限り全員がすべてのものを食べるように全力で取り組んでいます。我々は、仕事柄、日頃から様々な食材や商材をご紹介頂く機会が多いのですが、「究極のお土産」の審査では、毎回本当に様々な商品との出会いがあって、ハッとさせられます。デスクに届く情報をただただ処理していくような事だけでは決していけないという気持ちを改めさせて頂きましたし、食に関るモチベーションが高まりますね。

コレ:東北限定と言えども、本当に様々な商品がありますものね。2次審査だけでも相当なバラエティ!

横川:カタログにしようとすると綺麗にまとまってしまいがちですけれど、こういった場所で直接、生産者からお話を聞くと、ポロっと良い話が伺えたりして、できることならそういうストーリーも僕らが上手く伝達できたらいいなと思いながら審査をしています。

コレ: 日本の食文化や食に関する地方の産業の未来は明るいでしょうか?将来性を横川さんはどのように見られていますか?

横川:ポテンシャルは我々が言うまでもなく、沢山あると思います。生産する側と販売する側の人間がここまで大きな企画でこうした場所を作らないとなかなか会えない事そのものに、我々自身がもっと反省をしなくてはいけないと思いますよね。日常からもっともっといろんなコミュニケーション方法を考えて、もっともっと出会いに対して貪欲に動いていくという事も大切だと感じます。やっぱり寄せられる情報と自ら動いて得る情報は違います。良いものをきちんと外に、消費者に対して出していける方法を業界全体で見直していきたいですよね。

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そもそも、食材も、それを加工する技術も、丁寧にものを作るという日本人らしい精神を含めて、日本は世界でもトップレベルにいると思うんですね。問題はコミュニケーションやプレゼンテーションがあまり上手ではないという点。今回いくつかお話をお伺いしたところでは後継ぎの息子さんが一旦東京で企画の仕事をしていたり、何か違う仕事に携わっていた経験を持ったことがきっかけとなって、全然違う接点が出会ったことにより、新商品が生まれているところもありました。そういう外部との“新しい接点作り”みたいなものは、我々バイヤーとも違う仕事だと思います。みんなが複合的に広めていくことができれば、ポテンシャルはさらに大きなものになると思いますね。

コレ:審査の中で、横川さんは人一倍悩まれていましたけれど、選んだ商品の決め手はどういったところだったのでしょう?

横川:実は前回はスウィーツを選んだのは僕だけだったんです。審査員には男性が多いので、どうしても男性ウケの良いものが選ばれがち。だから、僕はあえて女性目線で選ぼうとしていますが、今回は前回以上に迷いましたね。なんとなく、胡桃のお菓子、ドライフルーツというのも候補として考えていましたが、今回はあえて「和」を選びました。
シンプルで素朴だけれど、そういうもの程手間がかかるもの。日本人にしか出来ない技が隠れているので、十分世界に通用する商品だと思います。我々は和食は専門外と思われがちなんですが、「美味しいもの専門」として、日本の良いものを外に伝えることももっとしていきたいと思っています。

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今回の審査の結果は・・・こちら!大賞は特別賞を含めて、11選。
甲乙つけがたい優秀な商品ばかりで、かなりの接戦となりました。

国産無添加ドライフルーツ「七果」
[福島県須賀川市 株式会社ワタスイ]
審査員:荒木 直也 (株式会社阪急阪神百貨店)
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Amulet of the Sun‐太陽の生レーズン/一房
[岩手県花巻市 佐藤ぶどう園(S.A.V)]
審査員:稲葉 潤一 (株式会社ローソン)
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八戸鯖・水煮缶詰 缶内熟成1年セット
[青森県八戸市 株式会社味の加久の屋]
審査員:大西 洋 (株式会社三越伊勢丹ホールディングス)
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プチジェリチェリー
[山形県寒河江市 株式会社サエグサファクトリー]
審査員:桑原 健 (株式会社紀ノ國屋)
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老舗の味つゆ
[岩手県花巻市 佐々長醸造株式会社]
審査員:河野 奈保 (楽天株式会社)
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山形代表 詰合せ7缶セット
[山形県南陽市 山形食品株式会社]
審査員:坂西 理絵 (株式会社料理通信社)
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平泉黄金バウム
[岩手県花巻市 株式会社ブルージュ]
審査員:二橋 千裕 (株式会社東急百貨店)
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金華さば燻製
[宮城県石巻市 本田水産株式会社]
審査員:町田 成一 (株式会社プレジデント社)
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香木実 (かぐのきのみ)
[福島県会津若松市 株式会社長門屋本店]
審査員:マッキー牧元 (株式会社味の手帖)
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金のさんま
[宮城県気仙沼市 株式会社斉吉商店]
審査員:横川 正紀
(株式会社ディーンアンドデルーカジャパン)
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お米の地酒かすてら
[山形県酒田市 カム コミュニケーションズ株式会社]
総合プロデューサー:藤崎 慎一 (地域活性プランニング)
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コレカラージュも沢山の試食で、独自に審査に参加してみました。多くのものは、さすがに審査員の皆様が選んでいらっしゃいましたが、番外編でコレカラージュ賞を差し上げられるなら、次の2つになるでしょうか。
本当にすべての商品にストーリーがあり、どれも美味しいものばかりでしたので選ぶのはとっても大変!あえて、選ぶならば・・・で参考にして頂ければと思います。

岩手県大船渡市の宝鮎たまごのオリーブオイル漬け
日本海洋資源開発株式会社(有限会社タイコウ)

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福島県伊達市のこだわりの一品伊達鶏の削りぶし
伊達物産株式会社(伊達物産やまとフーズ株式会社)

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日本のものづくり、日本のよいものを私たちももっと学び、知り、世界に誇れる産業として応援をしていきたいですね。この取材を通じて、益々東北に興味を抱くようになりました。ワンダフルな愛すべきニッポン。もっとMade in Japanを食べましょう!

本は2月末発行予定。

http://www.newtohoku.org/promotion/omiyage