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OTONA LOUNGE | Vol.18

森下 征治(TANGE FILMS 代表)櫻井 稔(takram design engineering)

   Text : Masami Watanabe
Photo : Rumi Usui

かっこ良くてチャーミングな大人たちの現在、過去、未来…、その生き様や考え方を垣間見ることができ、Qorretcolorageウェブの読者の皆様にもっと楽しい「今」、さらにポジティブな「明日」を感じて頂く対談企画です。毎月のゲストが翌月にはお友達を招き、ホストになるリレー形式で展開していきます。今回は、前回のゲスト、takramの櫻井稔さんがTANGE FILMSの森下征治さんをお迎えしてお届けします。森下さんは、皆さんもきっと観たことのある“SMAPxSMAP”をはじめとする人気番組のオープニングアニメーションや多くのテレビCMや広告のアニメーション動画を制作する会社TANGE FILMSを経営し、ご本人もまた名クリエーターとして活躍中です。今回は、森下さんがどうしてアニメーションの世界に入ったか・・・など、森下ワールドにじっくりと迫ってみました。

櫻井氏(以下、櫻井):今日の対談は僕がホストなんですけど、元々、モリさんは僕の先生なので、ちょっと照れくさいですね。

森下氏(以下、森下):それは僕も同じ。よろしくお願いします。照れる(笑)。

櫻井:美術大学って予備校制度がとても大きな比重を占めていて、多くの学生がそこで1浪から最長で9浪くらいまでの時間を過ごしてから大学に入るのですが、確かモリさんは僕が2浪か3浪くらいの頃の先生でしたよね。非常に明るい先生が居るなと感じたのを覚えています。

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森下:そうだったかな。それより、僕が入試監督をやって、サクちゃんが絵を描いていたのは、よく覚えているよ。

櫻井:そう!偶然にも僕が藝大を受験した時の試験監督だったんですよね。あの時は、僕が絵を描いている後ろのほうで、試験監督としてずっと見られていた。試験の後本当に不安で、「僕、受かってますか?」と電話して聞きたかったくらいです(笑)。

森下:そうだったよね。僕はサクちゃんの予備校時代の講師でもあり、藝大の先輩後輩でもあるんだよね。結構、縁が深いのかも(笑)。

櫻井:あの頃、モリさんは既に助手でしたよね。

森下:そうだね、ちょうど大学院を卒業して助手をやっていた時期かな。

櫻井:モリさんは藝大の修士過程まで行かれていますよね?そこから助手は何年間やっていたんですか?

森下:助手は3年間やっていました。それから2年間は東京藝大の工房担当で2年間非常勤講師をしていましたね。

櫻井:では、卒業して5年後には講師になったということ?

森下:はい、そうですね。5年間の非常勤講師の後、講師になりました。

櫻井:今の仕事はアニメーションがメインですけど、在学中もずっとアニメーション制作をしてたんですか?

森下:アニメーションをやり始めたのは大学4年生の頃からです。それまでは何もやっていなくて(笑)。

櫻井:いや、それは言い過ぎでしょう(笑)。

森下:本当にね、3年生の終わりくらいか4年生になったくらいからですよ。卒業制作でアニメーションをやろうとして、その時に現在の仕事(会社)のパートナーであるジャックに手伝ってもらったりしていたの。それがこの仕事に入る始まり。

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櫻井:会社としてTANGE FILMSを立ち上げたのは大学を卒業してからですか?

森下:2009年に会社にしたから、卒業してから6年くらい?僕は29歳で大学院を卒業して、屋号を立ててすぐに仕事をスタートさせて、34歳で法人化したんですよね。卒業した直後は自宅で仕事をしていた。メンバーも3人で、僕は当時結婚をしたばかりだったので、新婚生活の家に2人が出社してくるみたいなね(笑)。今、考えると不安定な職業を、よくスタートさせたと思う。でもなんとか1年続いたから、そろそろオフィスと自宅は別にしたほうがいいなということになって、初めてのオフィスを借りました。

櫻井:僕はモリさんの最初の自宅兼オフィスに遊びに行ったことがあるんですけど、その頃から今の奥さんと一緒に住まわれてましたよね?

森下:助手同士で結婚しちゃったんですね(笑)。だから職場結婚みたいなもの。現在も妻は会社の一員です。

櫻井:奥さんは、元々クラスメートだったんですよね?

森下:そう、同級生です。知り合ってもう十数年経ちます。学生からの付き合いで、まぁ、そういうご縁もあるもんだなって思います。

櫻井:二人ともクリエーターですからね。

森下:そうね、妻はイラストレーターで僕とはやっている仕事の内容は若干違うんだけれど、クリエーター同士といえばそうなりますね。

櫻井:一緒に仕事ができる、仕事の理解をしてもらえるのは羨ましい気がします。

森下:スタート当初からちょこちょこと手伝ってもらってはいましたね。感謝していますよ。今は、子供が3人居るので、以前に比べると家にいてもらうことも増えました。それでも、キャラクターデザインをしてもらったり、雑誌のイラストを描いてもらったり、テレビのオープニング映像を一緒に作ったり、共同作業もありますね。

櫻井:いいですね〜、仲がよくて羨ましい。ところで、モリさんの最初の頃の仕事は、どんなものが多かったんですか?これは今日、ぜひ聞いてみたかったことのひとつです。

森下:始め立てホヤホヤの頃はね、DLEという会社の「蛙男商会」や「鷹の爪」ってありますよね?知ってる?映画館とかで、映画が始まる前に出てきたりするアニメーションなんですけど、その会社がまだ本当に小さかった頃に、新しいクリエイターさんを発掘中だから何かやってみてもらえませんか?と声をかけられてアニメーションを作ったり、NHKをはじめ、テレビのちょっとしたコーナーのアニメーションを作ってみたり、というのが最初。あとは、友達のブランドのイベントに使う映像をちょっと作ってみたり、何か頼まれると作っていましたね。

櫻井:アニメーションの会社を始める方法ってピンと来ない人も多いと思うんですけど、実際は最初の一歩をどのように踏み出したんですか?

森下:一番初めの一歩はね、おそらく2通りあると思うんだけど、ひとつは賞レースで良い賞を獲ること。そうすると、それをきっかけにそこに仕事が入ってくるようになる。もうひとつは、逆に「アニメーションをやる」と決めたらぶれずにそれを追求して、先輩や友達の紹介と口コミで少しずつ仕事を増やしていくというやり方。この2パターンなんじゃないかな。

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櫻井:モリさんはどっちでした?

森下:僕は後者です。コツコツやりながら、ちょっとずつ仕事を増やし、仕事内容を大きくしていきました。

櫻井:後者のわりに、モリさんの場合は出世が早すぎると思うんですけど?(笑)
だって、結構早い段階でSMAP x SMAPのオープニングを任されていたじゃないですか!普通に考えたら、起業して1〜2年でNHKの番組やSMAP x SMAPは手がけられないですよ。

森下:確かにね、そういう意味では僕はとても恵まれていたのかな。でも、恵まれていなかった面もあるんだよね。まぁ、今となっては結果的には恵まれていたんだけれど、先輩で仕事をくれる人があまりいなかったのも本当の話。今、僕たちは後輩たちに「ちょっと手伝ってよ」って仕事を投げたり、お願いしたりすることが頻繁にあるんですけど、自分たちがスタートした頃は、そう言う話がほとんどなかった。仕事が来るまでひたすら待つ・・・みたいな感じでしたよね。
だから、起業直後は僕も大学で助手をやっていましたし、一緒にスタートした会社のパートナーも予備校の講師をやっていて、それぞれが別の“生活していく為の仕事をしながら、なんとかアニメーションを続けることができていました。スタートの時から、僕たちは「アニメーションをやる」っていうことはしっかりと決めていたんだよね。でも、仕事は思う程はなかった。だからそんな時に別の収入源を確保していたお陰で、結果的にぶれずにアニメーションを続けることができたのかもしれませんね。

櫻井:なるほど。最初のうちの仕事は“手堅くやる”というような感じでしたか?それとも、最初から“フルパワー全開でやらないと次の一歩がないような”感じでしたか?

森下:僕たちも最初からフルパワーでしたね。ふたりで1ヶ月やっても15秒くらいのものしか作れなくてね(笑)。「僕らは食っていけるのか、これで?」という感じのスタートでしたよ。

櫻井:やっぱりそうなんですね。

森下:結局、何があったから今の仕事(会社)の状態になったかは分からない。最初はもう形にならないものを試行錯誤しながらずっとやり続けていましたから。やり続けて、それが形になること、ならないことを繰り返し、何回も何回もトライ&エラーという時期があったから、やっと最近では最短ルートが見えるようになってきた感じです。「2週間しかない」と言われたら、2週間でどうやって最良の形にするか。今なら、ある程度できることが判断できますから、最良をやり遂げるか、できないならできるようなプランニングをして提案します。

櫻井:会社化する時に、夫婦間で揉めたりはしなかったんですか?「本当にそこに行くのか、行かないのか。やるのか、やらないのか。」みたいな。一人だったら「まぁいいか、飛び込んじゃえ!」でいいけれど、結婚していると話し合ったりするんでしょう?

森下:これが全然話し合っていなかったんだよね、うちの場合は。彼女はいつも「やれば?」みたいなスタンスでしたから、好きにさせてもらっていました。すっごい迷惑をかけたなって、今では思いますね。具体的な迷惑話はここで言えないくらい(笑)。きっとね、これは仕事のことだけでなく、自分がちゃんとしてから結婚しようって思っていたら、僕は今でも多分結婚はできていないと思う。僕の場合は、“俺、今大変だから理解してくれ”みたいな感じで、結婚できたんだと思います。今の僕があるのは、大袈裟じゃなく嫁のお陰です。結婚だけじゃなく、自分はそういうスタンスでいろんな人と仕事もしているのかもしれません。風呂敷をちょっと広げつつ、広げたものをどうやって畳むのか、そういうタイミングで人に声をかけて、それでちょっとずつ輪が広がっていったようなね。

櫻井:モリさんは、「助けてもらい上手」なんですね(笑)。

森下:そうかもしれない(笑)。現在のうちのスタッフの構成としても同じ図式ですよ。僕があちこちで勝手に広げたものを、“あ、また広げてる!”みたいな感じで、みんながちゃんと畳んでくれる。よく考えると、今でもそれは変わらずで、社内でも会社の外でもそうかもしれない。結構、人に頼ってる!(笑)

櫻井:それは業界全体でそういう傾向があるのかもしれませんね。以前僕がサポートをしたこともありましたけど、今は僕の会社のプロジェクトを助けてもらっていたりしますし。助けて助けられて・・・ですね。

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森下:助けてもらってばかりの僕が言うのもなんだけど、不思議と最近になって助けてあげられないし、助けてもらえない人もいる。表現として、この言葉が正しいのかどうかは分からないけれど、自分の仕事との相性の良い悪いはあるよね。相性の良い人とは、何をやっても全然苦労しないで円滑に進む。何か問題が発生しても、気持ちよく乗り切ることができる。でもね、相性の悪い相手だと、ちょっとしたことがズレるだけでも、すごく単純な仕事なんだけど、物凄くストレスになったりする。人が“仕事に臨む時のスタンスというものが、”一緒にできるできないを決めるのかな。一緒にいて心地よい領域の人たちというものがなんとなくあるんじゃないかと思いますね。その点では、サクちゃんは近い領域の人。だから一緒に仕事をして信頼もできるし、心地よく感じるのはそれだと思う。

櫻井:なるほど。僕もモリさんには全幅の信頼を置いています。近い領域でよかった(笑)。

森下:例えば、Aさんとやる仕事とBさんとやる仕事だと、そこに生じるストレス量が全然違っていて、Aさんとは楽に分かり合えたりする。

櫻井:ベースが一緒なのかな?通ってきた環境が近いということもあるのかもしれませんね。

森下:全く同じ仕事をやっているんですけど、担当者次第ではこちらが「やれる事」が違うと思うんですよ。やろうと思えることが違うというのかな。あれは何なんでしょうね?

櫻井:それ、絶対ありますよ。やっぱり最後は人が目に見えないが仕事をさせる”何か“というか、やる気を引き出すというか。

森下:おそらく、そこには絶妙な“必要とされている感を感じるのだと思うんですけどね。”Aさんは良い“必要とされている感”を出す。だからこちらもそれに応えようとする。Bさんは、必要とされているというよりは、「やってよ!」みたいな感じだったり、「やるんでしょ?」みたいな感じだったり。そうなると、なんだかなぁ・・・みたいになるよね。

櫻井:「僕たちは業者じゃないんですよ!」みたいに思っちゃいますね。

森下:そうそう、そんな風なことを最近よく感じますね。

櫻井:ルーティンになればなるほど飽きてくる仕事もいっぱいあると思うんですけど、そのあたりはどうですか?例えば、最初は慌てて対処していたはずのトラブルに、慣れてくると「そろそろ起こるな」とか分かるようになりますよね。そういう状況はアニメーション制作にもあるんでしょうか?

森下:うーん、たまにはあるかな。年間を通じて定期的にやっている仕事だと、多少はマンネリ化することも確かにあるけれど、「マンネリ化」は、アニメーションの場合は逆に“こだわれる部分”でもあるんです。深く掘ることも出来るから、そういう時は良かったかなと思います。現在、相棒のジャックが年間を通じてずっと同じテレビCMの映像制作をやっていて、それは見ていてもおそらくマンネリ化するんだろうけれども、マンネリ化の中で自分の掘り下げ箇所を見つけてやっているんだろうな、とも思う。僕には最近は新しい案件ばかりが来ていて、あんまりマンネリ化(掘り下げる)系の作業はしていないですね。それはそれで寂しかったりもして(笑)。

櫻井:マンネリがないなんて、毎日がエキサイティングなんじゃないんですか?(笑)

森下:エキサイティング・・・うん、エキサイティングにも色々あるからね。一時期、サクちゃん達と「何かやろう!」と言っていた時の、あぁいう感じのエキサイティングさではないですね、今の状況は。新鮮な案件ではあるけれど、無から何かが生まれる予感がするような、何か広大な平野に出て行く感じ…は、ないですね。

櫻井:あれは何年前だろう。3年くらい前でしたっけ?ちょうど、何かテクノロジーを使ってアニメーションの新しい表現や、アニメーションのための新しい媒体を一緒に探していた時期ありましたよね?あの頃の心境と今の心境ではワクワクの種類が違ったりしますか?

森下:そうね。ずっとどこか別の場所で、新しいフィールドでアニメーションをやりたいと思っていたんだけど、今では「場所」は勝手に出来ているんだよね。だからこそ、そこに作る内容を掘り下げて、様々なチャレンジをしているのだけど。例えば、「ちょっとホッコリする」を目指したときには、クールにカッコよく作り込みながらも、多少の手作り感を残す…みたいなね。
そういう”“らしさ“良さ”みたいなものをしっかりと確立して、軸足をちゃんと持っていたいと思ってやっています。TANGE FILMSが制作するとアニメーションがなんとなく“こういう感じになる”みたいなものをちゃんと用意して進めて行く。新しい人材が入っても、そのコアな“らしい”部分は薄まることなく、むしろそこはしっかりしたまま、もっと可能性を広げていけたらいいと、今は考えているんです。

櫻井:なるほど。僕はモリさんの今までの流れを側で見てきたんですが、大きく分けて3つくらいの時代に分かれているようなイメージがあります。初期は、とにかくコツコツと実績を作っていたと話されていた時期。次がマンネリ化の状態から新しい挑戦をしていた時期。その頃は、海外のコンペにもいっぱい出していましたよね。そしてスタイルを確立する(した)時期。今はそういう表現でいくと、どんな時期なんでしょうか?僕から見るとスタイル確立後に、さらに軸足を固めているようなイメージがありますが。

森下:軸足をしっかりさせる…っていうと、保守的になっている、挑戦をしなくなっている等とネガティブにも受け取られがちだけど、実はこの仕事だけじゃなくてビジネスにおいてはとても大切なことなんじゃないかと思うんです。コンペや賞レースで賞を勝ち取っても、商売として考えたら、日本の市場では特に幸せになれるわけじゃないと思うんですね。とりあえずは今できることを日常的にちゃんと仕事として行って、ちゃんと家庭を守って、そういう基本的なことをきちんと続けられることが、まずは大事なのではないかと。その上で、賞レースに出品が出来て、賞も受賞できたらなお良いのかなと思う。
やっぱりね、先輩たちを見ていると、自分のスタイルが固まっていない若い段階で賞を獲ったりしてしまうと、その後あまり華々しくやれていないことも少なくないんですね。
最近は、アニメーションを主体でやりながらも少しズレたところで表現活動をしている人たちが世の中的にはフィーチャーされているんだけど、そういうクリエーターは常に「アニメーションから少しズレた感」を出し続けなくては注目をしてもらえなくなっちゃうと思うの。今は、正統派のアニメーションよりも、アニメーションという表現を使いながら、女の子の文化とかヲタクの文化を背景に、何かを打ち出していくスタイルを持っている人が成功している傾向がありますけど、僕たちは自分たちらしいスタイルをしっかり固めて、いつの時代も「らしさ」で生き残れるようにしたいと考えています。つまり、質問の答えは3フェーズ目と2フェーズ目のミックス。軸を強化しながら、可能性に挑戦もしていくフェーズにいるということになるのかな。

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櫻井:新しいフェーズに入ったんですね?
以前モリさんとは、新しいことにトライしたい!という話を一緒にしていたのをよく覚えていますよ。アニメーションがどうやって生活の中に浸透していくか、どんな場所で、どんなふうに人々に触れられるのかなんて、話していましたよね。その時に話していたことが今、…色々と実現していますよね。それって結構すごい事だと思います。

森下:最近は逆にそういう風には考えなくなっちゃったかもしれないな。なんとなく展望としてのヴィジョンは持ちつつも、以前のほうがよく分からない未来をぼんやりと語っていた気がします。今は直近の事を考えているほうが断然多い。どちらかというと仕事をしている相手との関係性を考えていることが増えました。

櫻井:世の中に作品を送り出す上で、未来のことと直近の事を同時に考えるのは、すごく大事な事だなと、聞きながら思いました。クリエイターとして見た事もない新しい物を作るのも重要だけど、職人的なものづくり精神も重要ですよね。その狭間での戦いは、きっとみんながどこかでしていると思っています。

森下:そんなに大げさなものではないけど、全然ネガティブじゃないし、本当はそういう風に真摯に向き合って、考えて、やらなくてはいけないのかなと思うんですよね。
常に一歩引いてみる。先端技術的の観点からアニメーションやクリエイティブなことに関わらない。その中で、新たな見方がどんどん生まれてくるし、同時にどんどん消えていく。例えば、アニメーションをライブに取り入れてみるとか、ミュージックビデオに取り入れてみる人もいる。でも、結局、基本を知らずに最初からそういうスタイルに走る人は残っていけないように思うんだよね。それよりかは、職人がそぎ落として出来たものを大切にしてくれる人、基本を知っている人との関わりを太くしていくほうが長くこの世界ではちゃんと長くやって行けるんじゃないかな。いきなり新たな方向に舵を取るのだったら、例えば英語は最低限ビジネスレベルで話せて、海外でも勝負できる基礎を持っているとかじゃないとダメだと思うんです。そのくらい先までのしっかりとした展望を持たないとね。英語が喋れて海外で・・・という選択は結構ハードルが高いですよ。海外と日本では基本の市場が全然違うから、日本の市場しか知らないとかなり難しいと思う。だから僕の場合は、「日本の市場に照準を合わせたものはちゃんと作りますので、ちゃんと仕事を一緒にやって行きましょう!」と、コミュニティーを徐々に徐々に作っていくことがいいのかなぁと考えていますね。

櫻井:アニメーションと言ったら、世界の中での大きな流れはアメリカと日本ですか?

森下:ヨーロッパもありますけど、やっぱり先端を行っているという意味ではアメリカですかね。日本はまだまだ先端じゃないですね。

櫻井:日本も個人にフォーカスすると結構なレベルだと思うんですが、アメリカには敵わないんですか?

森田:確かに、個人的に見ると凄い人はいますよ。ただ、業界自体が凄いとはあまり思えない。

櫻井:アメリカがすごいと思うのはどこらへんなんでしょうか?

森下:アメリカって、アニメーションスタジオがすごいんですね。組織と環境全体がすごいの。日本は「個人」ではすごい人もいるけど、グループとしてはまだまだです。突然、すごい個の才能が出てくると、その個人が神のようにムーブメントが起こる。アメリカでは、突然出てきた才能(個人)にみんなが寄って行って、組織でムーブメントを起こすようなところがあります。だからアメリカにも当然、個人個人でものすごいディレクターやアニメーターがいると思うんですけど、スタジオが前面に出る。スタジオの名前しか聞こえて来ないし、グループとして非常にハイレベルだと感じますね。僕としては、TANGE FILMSもそういう会社になりたいと思っていますね。

櫻井:なんか日本人が「個」で、アメリカが「チーム」というのが興味深いですね。やっぱり、ピクサーがすごいんですかね?

森下:ピクサーはすごいですね。あれはもうちょっと凄すぎて、別格でしょう。NYにあるCM用のアニメーションを製作する会社でも、とてもセンスが良くて、そうした団体がとにかくいっぱい存在しているのがアメリカのアニメーション業界です。

櫻井:モリさんはアメリカへの進出とかは、今は考えないんですか?

森下:うん。今はね。僕は、今は日本で軸足をしっかり置きたいし、日本に根を張り、長く作り続けたいですね。海外は、中途半端な気持ちでは無理です。だとすると、今までコツコツと築いた日本での仕事を断ち切ってまでアメリカに行くのか・・・。かなり大きなプロジェクトになります。現地に自分がいるか、誰かひとりを常駐で送るくらいのことをしないと、やっぱり難しいと思うんです。

櫻井:なるほど。ガラッと話を戻しちゃいますけど、モリさんは小さい頃に見ていた何か特定の漫画が好きで、こういう業界を目指したんですか?

森下:そうですね。もともとは漫画が大好きで、いろんな漫画の真似をして絵を描いていたんですよね。それで、他の人より絵がちょっと得意だったから美大に行ってみようかな・・・みたいなね(笑)。それで実際に藝大に行ってみると、その中にはニッチでかっこいいアーティストとかをよく知っている独特な奴らもいて、そういう世界を知っていくとその表現に憧れたりして。でも、それは決して大衆的ではないので、そこからもう一回どういうスタイルが世の中的には必要とされているのかを考えて、原点へ戻っていく作業をしたのね。自分のこういうのはかっこいいよね、というものだけをとことん突き詰めて。

櫻井:やっぱりいろいろ体験して、広げてから絞り込んでいくんですね。

森下:そうね。なんかね、そもそもを思い返すとイラストレーターになれればイラストレーターが良かったのかもしれないんだよね。でも、広げて突き詰めた結果、イラストレーターでは自分らしさが出し切れない気がしたのね。それで行きついたのはアニメーション。
ちょっと見ますか?

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櫻井:ぜひぜひ!

森下:これは少し前のものになるんだけど、うちで製作しているものを幅広く見せています。

櫻井:アニメーションの制作をやっていると、自分の作った作品を自分の子供が見ている姿とかを見たりするんでしょうか?

森下:見ます、見ます(笑)。

櫻井:そんなとき、どうですか?(笑)

森下:あー、こういう反応するんだぁ、みたいなね。すごく新鮮。何回も見たいって言われるのは嬉しいんだけど、実際にどう理解しているのかは分からないんだよね(笑)。

櫻井:僕の会社でもミミクリーズっていう子供向け番組の製作をしてるんですけど、同僚の子供たちがみんな意外なところに食いつくんですよ!あれ、新鮮ですよね。僕らなんかは、ただ冷静にどんなものが好かれるのかを見ているから、いつもハッとさせられます。

森下:確かにそういうところはあるね。前に依頼を受けて絵本を作ったことがあったんだけど、その時も子供に見せたら意外な反応だった・・・。

櫻井:どんな感じの意外性でした?

森下:意外に絵が下手って言われたり(笑)。

櫻井:ストレートだね。それ、ショックです(笑)。

森下:なんかね、全体のストーリーとかはあまり関係なくて、そんなところを見るんだ!みたいな、意外なところを見られている事実が判明したりするよね。子供は容赦ないし、鋭い。
櫻井:子供はどちらかというと、瞬間の“面白さ”みたいなものを見ている感じなんでしょうか。

森下:どうしてこの人はこんななの?って、キャラクターのディテールに突然ロックオンしてみたりね。

櫻井:面白い。ちっちゃい頃から、“見方”は知っているんですね。

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櫻井:ところで、TANGE FILMSと社名を名付けた由来は何でしたっけ?

森下:パートナーのジャックが丹羽。僕が森下で、それぞれ一字ずつ取った。とってもシンプルな名前でしょう?丹羽の「タン」と森下の「ゲ」です(笑)。

櫻井:わかりやすくていいですね。響きもいい。

森下:これでもね、結構色々迷った中で、一番当たり障りのないところで決めたんだよ(笑)。

櫻井:すごく良い名前だと思いますよ。よかったらTANGE FILMSの最近の仕事の話をもうちょっと聞かせてください。

森下:いろいろやっているよ。プロジェクションマッピングもやったし、あとね、これはちょっと写真はNGなんだけど、嵐の仙台でのコンサートのオープニングアニメーションを作りました。もう終わった案件だから、話だけなら大丈夫だと思うんだけど(笑)。

櫻井:嵐のコンサートは大規模ですよね。どういう風に作り上げるんでしょうか?

森下:そうね、すごい規模だよね。何度も打ち合わせをして、こういうのがいいとか、ああいうのがいいとかをいっぱい話し合います。

櫻井:仕上がりを見た時のメンバーの反応はどうでした?

森下:手前味噌だけど、なんか上々だったみたい(笑)。嵐はね、松本さんが全部チェックするんですよ。

櫻井:ビジュアル関係は松本さんの担当なんですか?

森下:ライブの構成とかも含めて、彼が全部決めているみたいですよ。真剣だし、とても本格的で感心しました。勉強にもなりましたよ。

櫻井:へぇ〜!すごいですね、裏話だ!(笑)
ここに、こんな話を出しても大丈夫なんですか?

森下:そうですね。結構、厳しいみたいだから、このくらいで勘弁して(笑)。でもね、一応ビジュアルなしで、話だけなら大丈夫とは言われましたから、このくらいならいいでしょう。

櫻井:なんか色々、やっていますね。さすが!

森下:様々な案件を同時にやっているのがうちの会社の魅力なのかなって思うんだよね。
うちには、2Dと3Dチームがいて、そこをまたぐようにグラフィックデザイナーがいて、各案件を進行していくんですね。スタッフ全員が一つの事をやる事もあるんですけど、色々と臨機応変に組み替えも可能な感じがいいんじゃないかな。

櫻井:常時、いくつくらいの案件を同時進行で走らせているんですか?

森下:最近多かった時は8本くらいあったかな。それは正直言うと、ちょっと大変でした。

櫻井:今、スタッフは何人でしたっけ?

森下:6人。

櫻井:8案件ってことは、スタッフの頭数より多いってことですか!

森下:そういうことになるね。どの案件もちょっとずつすらしながら、オーバーラップして進めてる。入り口として仕事の話する時は2Dも3Dも出来ますよというような極めてデジタルな話をさせて頂くんですけど、でも実はそこが大事なポイントではなくて、僕らが作るとなんかあったかい感じがあるのが、TANGEらしさなんじゃないかと僕は思っているんです。それが「らしさ」であり、「売りポイント」なんじゃないかってね。

櫻井:なるほど。確かにモリさんの作品はあったかいですよね。昔思い描いていた事が今は結構実現できていると思うんですけど、これはまだだな・・・っていうのは、何かありますか?

森下:一番出来ていないのは、要はスタジオジブリさんがやっているような、そのアニメーション自体が「作品」として人が楽めるものになっているということ。コマーシャル(CM)というのもひとつの表現であって、かっこいいなとは言われるし、そういうレベルのものは作っていると自負しているんですけど、その作品自体に込められている哲学的な部分を楽しんでもらえるような作品は作ることができていないし、まだしばらくその域に行けるかはわからない。いつかはそんな仕事が出来るといいんだけどね。でもね、それは結構リスクが高くて、なかなか長編には手を出せない。

櫻井:やっぱりスタジオジブリくらいの長編じゃないと表現できないものなんでしょうか?

森下:そうですね、短編ではなかなかあんな風には観てもらえないだろうし、表現もしきれないと思う。長編は作る側としては想像以上に大変なんです。他の仕事をしながらだったら、きっと少なくとも3年くらいはかかる。しかも、自分たちで良いもの作ったと思っても、本当に同じ空気で見る側に伝わるのか。それはまた別の話だからね。現代人はハリウッドで何百億もかけて作られた2時間、3時間の作品を楽しむ人たちがほとんど。その一方で、短編の小さい作品を楽しむ人口というのは、ごく限られた人だけですよね。

櫻井:やはり自分の携わった作品は、どんなものだって、より多くの人に届けたいですよね。

森下:届けたいけど、長編以外は残念ながら今、市場がない。藝大とか美大に行くと「短編アニメ観ます」という人たちに沢山会うんだけれども、短編アニメに関っていない人は観ていないよね。すごく近い存在で、映画に携わっている人、イラストを描いている人でさえ、「短編アニメって観る?」と聞くと、「観ないっすね」って(笑)。

櫻井:そうか。なんか残念だけど、そういうものかもしれないですね。モリさんはクリエーター活動とは別に、大学の講師としての一面もあるじゃないですか。授業では生徒たちにどんな風に語りかけているんですか?

森下:僕が学生だった時代は、もっとこの世界の王道みたいなものがあったような気がするんです。でも、もし今僕が学性だったら、何をやるかとても迷うと思う。だって、これだ!という王道はないから、俺はこっちに行ってみようか、私ならこうしてみるのがいいかも・・・と、選択肢がいっぱいある。あまりにも多極化しちゃっていて、その中で自分の道を選ぶということは難しいんだろうな。僕が今、再び学性に戻ったら、映像をやるかどうかは分からないです。もしかしたらプログラミングをやらなくちゃいけないと思うかもしれない(笑)。

櫻井:モリさんは当時どうしてこの道に進もうと思ったんですか?

森下:もともと絵を描くのがすごく好きで、広告制作をやるのかなぁと漠然と思いつつも、広告代理店に進むことに躊躇してしまった。ではイラストレーターはどうだろうと考えた時に、イラストレーターは絵そのものが魅力的じゃないとダメなんじゃないかと感じたんですね。僕には画力はあるんだけど、雰囲気のある絵は描けない。そんなことでモヤッとしている時に、アニメーションだったら、絵が動くので、ひとつひとつの絵を丁寧にやれば、ひとつ魅力的な作品に描き上がるんじゃないかと思ったわけです。それでこの道に進むことにしたの。

櫻井:へぇ、そうだったんですね。キャリアを積んで来た現在のモリさんが、今、思っていることを教えてもらえますか?「この人のために作品を作りたい!」「映像を使ってこんなことをしたい!」・・・とかありますか?

森下:それで言うと、友達ですかね。誰かに褒められたりするなら、やっぱり友達に凄いねって言わせたいし、言ってもらいたい。僕の周りの友達に凄いねって言わせたらその周りも凄いねって、きっと言ってくれるだろうし。届けたい人の顔をちゃんとイメージしながら作品は作りたいと思っていますよ、いつでも。なかなか仕事だとそれがクライアントさんとか広告代理店の人とかが浮かんでしまいがちでもあるんだけどね(笑)。もちろん、そういう人たちが求めているものも考えて、そこに合わせていく感じも当然あります。でも、心のどこかではそうじゃなくて、あの人に見せたい、友達に誇れるものを作りたいと常に思っているところはありますね。今はね、情報社会だから、やろうと思えば簡単に世界の裏まで届く時代なんですけど、隣にいる人を心から驚かせる方が、僕にとっては大事なことのような気がするんです。

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櫻井:それ、すごくいいこと言ってますね!(笑)

森下:なんかね、実際に作業に入ると、対象が見えなくなるものなんです。だから、きちんと意識はするように心がけているの。

櫻井:よく子供が生まれると、子供のために物作りをするようになると聞きますが、そうはなりませんでしたか?

森下:それは、やっぱり多少はありますね。アニメーションだから、どうしたって子供には見せたいと思ってしまうからね。

櫻井:自分の子供にもアニメーションの仕事に就いてもらいたいと思ったりもするのかな?

森下:それは全然ないですね。自分の作品は見てもらいたい欲求があるけど、まだまだそんな風に教育を考えたらいいのか分からなくて(笑)。これからはいい大学を出たからどうにかなるという時代でもないと思うし、職業や仕事のスタイルが大きく変わるだろうと思うんですよ。それならば楽しく生きられる素質や隣の人とちゃんと共存していけるコミュニケーション能力が備わっているほうが、ずっと幸せに生きていけるんじゃないかと思います。むしろ、これからはそっちのほうが大事なんじゃないかなと思う。

櫻井:確かに。社会の形が完全に変わっちゃっているかもしれないですね、20年後には。

森下:サクちゃんみたいな能力があれば、いつの時代でも大丈夫だと思う(笑)。

櫻井:いやいや、よく言いますよ~。モリさんこそ (笑)。

森下:なんか褒め合ってるね(笑)。でもね、子供を持つと、今の教育がそのままで大丈夫なのかなぁと疑問もいっぱい出てくるんですね。うちの子供たちはiPhoneとかもバリバリやっていて、これをやらせない方がいいのか、そのままやらせたほうがいいのかとかね…(笑)。

櫻井:なるほど。ちなみにスティーブ・ジョブスは全部禁止していたらしいですよ(笑)。

森下:田舎に子供を連れて行くと勝手によく遊ぶんですよね。そういう時はiPhoneなんて見ない。やっぱり田舎がいいのかなと思ったら、田舎の子供たちもみんなiPhoneを使ってる(笑)
一体、何が良いんだろうと悩みますよね。

櫻井:以前モリさんの奥さんと話をしていたら、「うちの子は1歳からiPhoneを触るのよ、テレビまで行って、テレビを指でスワイプするのよ」って言ってました。その後が…面白くて、「それでね、何か悪い事をして怒ると、私の顔をスワイプするのよ」って。スワイプして違う顔にしようとするんだって(笑)。そういうのを聞くと、ちょっと驚きますよね。

森下:それ、凄いね(笑)。

櫻井:指がそう認識しているんでしょうね。でも、iPhoneとかを子供時代から触らせるかどうかは悩みますよね。

森下:僕もそれはすごく思うところ。止めたって、いつかは絶対に存在を知るだろうし、だったら、ある程度初めのうちから知っておかないといけないかなと思う。

櫻井:iPhoneにSiriってあるじゃないですか。あれに触らせたりします?

森下:うちの子供たちは、めっちゃ使ってると思う。どうして?

櫻井:最近友人の子供達がみんなsiriと会話するって言うんですよ。小さい子供たちがSiriをどうやって認識してるんだろうと思って、この前ある子供に「Siriちゃんはなんだと思う?」って聞いてみたんですよ。そしたら、「Siriちゃんは人間だと思う。でも、身体がないから人間みたいなお化けなんだ」って(笑)。モリさんもぜひ子供たちに聞いてみてください。

森下:へぇ~、面白いね。うちの子供たちもsiriとめっちゃ喋ってますよ(笑)。

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櫻井:ごめんなさい。すっかり脱線してますね(笑)。アニメーションの話題に戻して…。
何かを伝える難しさってありますよね。例えば日本のアニメ文化を海外の人に評価してもらう時、絵面だけでしか評価されないとか言われていますよね。モリさんは日本のアニメーションが海外でどう見られていると認識していますか?やはり表面しか伝わっていないなと思いますか?

森下:それはね、少し前に「かぐや姫」がアカデミー賞を獲らなかった時にすごく思いましたよ。ノミネートだけで、賞を獲れなかったのはやっぱり伝わらなかったんだって思っちゃった。僕は心の中では獲るんじゃないかと期待していたんですけど、でもダメだった。アニメーション映画で、ああいうものはなかなか作れないんじゃないかと思います。日本らしい引き算の効いた、“抜いた良さ”みたいなものが絶妙でした。あれが受け入れられなかったらもう…って、がっくりしちゃいましたよ。

櫻井:日本は元々のメンタリティーや文化が、引き算だったりしますからね。でも、世界のスタンダードは要素をプラス、プラス!というほうが主流ですよね。どの業界でも世界で戦うためには、文化の違いが大きな壁なのかもしれないですね。要素のプラスだけでは日本らしさが消えてしまうし、引き算をし過ぎても理解されない…。もどかしいですね。

森下:日本人の「ワビサビ」が根底にある引き算の文化は、奥が深いけれど世界に伝えるのはまだまだ難しい課題だよね。

櫻井:そろそろ最後の質問をさせてください。モリさんは自分が迷ったり、落ち込んだ時にはどうやって気持ちを切り替えていますか?それとも、実際には全くそういうことを感じないタイプなんでしょうか?(笑)

森下:僕はすぐに、そして、深く落ちこみますね(笑)。

櫻井:え!意外ですね。では、ピンチをどう切り抜けるんでしょうか?

森下:うーん、そういう時はいつもお菓子を食べていました。今でもそう。お菓子を食べていると、なんとなく「まあ、死にはしないしな」みたいな気分になるんですよ、不思議とね。結局ね、いつも落ち込んでみては、最終的にはそういう感覚になっちゃう(笑)。諦めが早いのかもしれない。

櫻井:一旦、早い段階で諦めてから、またそこから上がる…みたいな感じなのかな?

森下:そうですね、よく言えば(笑)。すごく忙しくても、来月になったら全部終わってるはずだし…とか思うと「現在の自分」を考えなくなるから、結果的にすっと乗り越えられてるんだよね。

櫻井:ドラえもんにそういう道具がありましたよね。ダイアル回すと未来の自分に意識をワープできるみたいな(笑)。

森下:あはは。基本的に僕が悩んでいる事なんて大した事じゃないですからね。結果、そういう風に通り過ぎてしまえるのかもしれないですよね。もっと苦しんでいる人はきっといっぱい居る。所詮、僕が大変だと思った事は、自分自身がちゃんとやれば解決するレベルの問題なんです。

櫻井:なんか、僕はモリさんの事はかなり知ってるし…なんて、思っていましたけど、実は結構初めて聞く話も多くて、とても有意義な対談でした。これからも日本のアニメーション業界を牽引してください!そして、また何か一緒に仕事ができたら嬉しいです。今日はありがとうございました。

森下:僕も楽しかったです。ぜひ一緒に面白いことをしたいね。

森下 征治
(Masaji Morishita)
2004年4月 東京藝術大学教育研究助手として勤務
2004年4月 フリーランスのアニメーション作家として活動
2006年9月 TANGE FILMSの屋号にてアニメーション制作事業を開始
2007年4月 東京藝術大学非常勤講師として勤務
2009年5月 株式会社TANGE FILMS 設立
2016年3月 現在
櫻井 稔
(Minoru Sakurai)
デザインから考えるコンピュータ環境の研究・製作を行う。ビッグデータビジュアライゼーションや3Dプリンティング・UI/UX領域について積極的に取り組んでいる。2007年未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定。2014年東京藝術大学美術研究科デザイン専攻博士後期課程修了。代表作に「日本科学未来館・地球マテリアルブック」、データサイエンス支援ツール「DataDiver」のUI設計・デザイン、日本政府のビッグデータビジュアライゼーションシステム「RESAS -地域経済分析システム-」のプロトタイピングなどがある。グッドデ ザイン賞金賞(2015)など受賞多数。

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