Qorretcolorage - コレカラージュ

これから彩り重ねる人生
マチュアを楽しむ、ヒトマガジン
A

旅する哲学写真家 | Vol.4

人間という大航海

   Text : Jo Moriyama

今回はフィリピンからお送りいたします。

大分前のことになるが、仕事でフィリピンに行かせていただいた事がある。
仕事だったので、その島で一番良いホテルに一人で五日間、ロケハンをするため、船までチャーターしていただいて、自由に周りの海を船長となって舵を取り、いろいろな島を巡った。

名前もなさそうな島に3家族しか住んでいなさそうな島。浜辺に教会しかないような島。また、大都会で欲しいものはだいたい見つかるような島。絵になる景色を探して、好き放題航海し続けた。

お金でフィリピン人女性を買って、ホテルに連れ込む外国人の姿は物価の安い国では、当たり前に見られる高級ホテルの真の姿がうかがえる。一人でいた事もあり、外の本当のフィリピンと美しい絵を探しに行った。
高級ホテルが連なる裏手の路地に入ると打って変わって、スラム街に入る。屋台にたかるお客様に紛れるハエたちの群れ、美味しそうな香りに、木の屋根から差し込む光は、埃の行方を暗示する。どこか後ろめたささえ感じられる外国人の高級ホテル内の雰囲気とは打って変わって、街は汚く、活気があり、どこまでも真っ直ぐで人間臭い。

・人の海に揉まれる時、人は自分の鏡となって、自分に返ってくる。
手で「L」の字を作って愛のサインを送るスラム街の青年たち↓
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ホテルの料理に比べて、屋台のご飯は信じられないほど美味しく、その夜から、体からみなぎる元気さえ感じられた。あの、屋台の料理はなんだったのかあまり理解はしていなかったが、今でも、あの料理を食べたいと思っている。

それ以降、スラム街と海の航海を行き来し、ホテルには寝に帰る以外戻ることはなかなかなかった。スラムの世界には「人情」がはびこっている。そして、「人情」でスラム街眠りに着く。人情のある町には、人への反応がそのまま自分に返ってくる性質がある。自分自身が周りの人を温かく包み込む寛容さを持ち合わせる限り、周りの人は、自分の気持ちと比例して、そのまま鏡のように返してくれる。

高級ホテルの中の世界だろうが、スラム街だろうが最後に人を癒し、慰め、人生が素晴らしいと感じられるのは、人情という生地があって初めて実感できるものなのだと確信した旅だった。
人は、人の間で自分を見つめ、人の間で、死んでいく。
人の情という波にもまれ、今日も人の間の波を航海していくのだ。

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ジョー・モリヤマ
(Jo Moriyama)
写真家/トラベルジャーナリスト
1978年ハンガリー人の母と日本人の父の次男としてベルギーブリュッセルに生まれる。幼少期をベルギーとスイスで過ごし、4歳~20歳まで毎夏を過ごしたスイスのサマースクールには約60カ国から様々な子供達が集まっていた。その様な多国籍の教育環境の中で、国際感覚を身につける。14歳で日本へ移住、神奈川県鎌倉市で思春期を過ごす。

大学時代から世界を旅する事に時間を費やし、現在も旅を続けている。
各国の世界観や道徳を理解し、その国の目線で人や風土風俗を体験する事を好む。その為、インド、ギリシャ、仏教圏等の哲学や各国の宗教、神学、心理学に興味を持ち、常に自問自答しながら旅を続け、独自の世界観を確立させた。

「文法を正しく使えないと言葉を喋れるとは言えない」という父の教えに忠実に、フランス語、日本語、英語、イタリア語、ヒンディー語、ウルドゥー語といった多言語をマスター、アフリカ全土、インド・パキスタン、ベトナム、ラオス、ヨーロッパ各国、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド等、世界の約7割の地域でコミュニケーションが可能。

旅をする時にその国の言語が理解出来る事は、理解出来ずに旅をする事と比べて大変大きなアドバンテージだ。すれ違う人の何気ない会話が分かり、街並の看板やサインを全て読めるということは、その国の日常を理解出来るということ。様々な国に直接触れる度に、常識や価値観の大転換が起こる。この世界はどうなってるんだろう?違いを知ったり驚いたり納得したり...と、考えるのが好き。そして、世界中に色々な友達が出来た。そんな旅先の写真が切っ掛けで写真家を目指す。

故・山口イサオ氏の元で下積みをし、その後、青山スタジオに勤務後、26歳で独立。世界中を旅した経験から、撮影対象を理解し、人や物・景色の本質的な表情を引き出した瞬間を切り取る事を最も得意とし、世界を舞台にファッション撮影や広告、カタログ撮影等をおこなっている。

Instagram jomoriyama
http://www.jo-moriyama.com

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