みなさん、こんにちは。スウィーツ弁護士こと、藤田剛敬(ふじたたけひろ)です。スウィーツの六法全書編纂をコンセプトに、スウィーツの甘美な風をお届けします。
それでは、法律第2号のテーマは「黄」です。
まずは、CLUB HARIEのバームクーヘン。
とてもやわらかいバームクーヘンという印象です。食感がやわらかいということでもありますが、それ以上に食べ終わった後の世界観がやわらかいという感覚です。わざとピントをぼかしてやわらかい雰囲気で撮った写真という感じでしょうか。
ふわっとした食感からバームクーヘンとしての甘みを感じ、物体としてのバームクーヘンはゆったりと溶けていく。にもかかわらず、絶妙な甘みと共にバームクーヘンとしての質量感の余韻に浸っている。本来相反するものが両立している不思議さに、ふんわりと魔法をかけたような一品です。
私は、近江八幡市の日牟禮カフェで焼きたてのものをいただきましたが、現在は当該カフェでは販売していないようです。あらためてチェックが必要かもしれませんね。
ぽぷらのスイートポテトです。仙台の瑞鳳殿の参道にあるお店です。
仙台ということで、ずんだスイートポテト(土日限定?)もあります。
食べた瞬間、まさにサツマイモ。しかし、サツマイモの持つ野菜としての一面が主張されているわけではなく、それが上手く生クリームの風味で包み込まれています。
そして、その食感。非常になめらかで、繊維感のようなものはありません。そのままナイフで塗ることができるぐらいのなめらかさですが、ぺたりと絡み付いてくるような満足感も失っていません。
ずんだも良いアクセントになっています。
Krispy Kremeのドーナツです。
いわゆるドーナツというよりも、溶けていくという感覚が強いと思います。
直接的な甘さなのは確かなのですが、バチンと打ち込まれる甘さや金属製の甘さとは違います。コーティング部分に「さくっ」から「すぅー」と歯が入っていく食感と相まって、気付いたらリピートしているという甘い罠にかかりました。
ここでロールケーキが3つ続きます。
パティスリー・モンシェールの堂島ロール:スポンジ部はかなり濃密。気泡がほぼなく、食べた時にかなりまったり、ぺったりと溶けます。卵の味が強く、甘めのスポンジ。それに対して、クリームは水のようにサラサラしています。かといって油分との分離感はなく、あっさりなのにコクがある。スポンジの濃密感とクリームのサラサラ感が合わさって調和が取れているという印象です。スポンジの卵感の強さに好き嫌いが出ると思われます。
京都西陣オアフ:あっさり感。しかし、味がしないとかインパクトがないというものではなく、軽いのにしっかり甘みを感じられます。中のクリームはかなり柔らかいが、油の分離感はもちろんないし、タラタラというものではない。堂島ロールが苦手な人には良いのでは。
五感のお米の純生ルーロ:スポンジ部分が甘めで柔らかくてやさしいです。中のクリームはとろとろ感がありながら、あっさりで良い。スポンジとクリームが調和してあっさりでまとめあげ、味の輪郭がきちんと調っているという印象です。
続いて、ピエール・エルメのタルト・シトロンです。檸檬の酸味がかなり強い設定です。しかし、後味として酸味が収斂した感覚は残りません。タルト部分はかなりしっかりとした食感ですが、硬質なバラバラとしたものではなく、タルトとしてのかすかに感じる甘みをきちんと奏でています。かなりエッジを立てているのに、全体としてのハーモニーを生み出している良い例だと思います。
ISABELLE’S CURLY CAKESのPeanut Butter Bananaです。
私が留学したボストンにあるカップケーキのお店。バナナを使っているので、そのイメージから黄色ということで。
商品名から危なさを感じたが、やはり先入観はいけませんね。
上のPeanut Butterは、一口目はかなりまったりと重く感じます。しかし、むわっとなる感じの重さ、気持ち悪さ、ぬめり感ではなく、味そのものの「強さ」によるもの。したがって、二口目へと続くことができます。
下のマフィンがバナナ味。あっさりとしたバナナ「風味」という感じで、いわゆるアメリカ的なシロップに浸した又は強烈な甘さというものではありません。 上のPeanut Butterとともに食べることで、Peanut Butterの重さが和らげられるというスキーム。
最後に、MIKE’S PASTRYのCANNOLIです。ボストンでは大人気のお店です。
もともとはイタリアのお菓子ですが、それをアメリカナイズしたもの。
中にリコッタチーズとクリームを混ぜ合わせたクリームが入っています。チーズの味は強くなく、クリーム的な要素の方が強い。クリームの質は柔らかめ。
→1回目の印象は、くどいほどに異様に甘い。さすがにtoo much。。。
→と思っていたのが、いつの間にか、この味を恋しくなってしまう。
→別にそこまでくどい甘さじゃない?
→リコッタが入っているからか、重みはあっても甘さをさっぱり感に引っ張っていく力がある。
というように、印象が全く変わります。この魔法を感じるためだけにボストンへ行く価値ありです。
今月は以上です。比較的質量感のあるものが多くなりましたが、記述を基に味を想像してみると、それぞれ違った質量感、その質量感の中にもむしろ逆の軽さを感じられると思います。
それでは、スウィーツを食べに行きましょう!