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温泉くん

川中温泉 かど半旅館(群馬県)

みなさま、こんにちは。温泉王子、通称「温泉くん」こと小松 歩(こまつ あゆむ)です。
わぁ〜この温泉、お肌すべすべ〜! 温泉に入ってこんな感じのお肌になれたら嬉しいですよね。温泉に期待する効果を聞いたアンケートでも、「美肌」は1、2を争う人気ワードです。そんな願いを叶えてくれる「美人の湯」の最高峰「日本三美人の湯」をご存知でしょうか。和歌山県「龍神温泉」、島根県「湯の川温泉」、群馬県「川中温泉」の3つの温泉地。1920年代に鉄道省から発行された「温泉案内」という当時のガイドブックで、この3温泉地が紹介されたのがきっかけと云われる、由緒正しい「美人の湯」です。ちなみに「温泉案内」には、「肌の色を白くする」という効能が謳われていたんだとか。今回はその中から、東日本で唯一名を連ねる群馬県の「川中温泉」をご紹介します。

「川中温泉」は群馬県西部・東吾妻町の山中に湧く温泉で、都内からのアクセスは車で約2時間半の道のり。1泊2日の旅行にちょうど良い距離感です。「川中温泉」には温泉街というものはなく、大自然の中にぽつんと一軒旅館が存在するのみです。主要国道「八ッ場バイパス」を横に1本それ、5分ほど走ると到着する好立地ですが、周囲には人工的なものの一切ない「秘湯」と呼べる空間。そんな川中温泉の一軒宿「かど半旅館」は、雰囲気のとおり「日本秘湯を守る会」の会員宿でもあります。


「日本三美人の湯」の一角をなす「川中温泉」。その「美人湯」ポイントは、「泉質」「pH(ペーハー、ピーエイチ)」「湯づかい」の3つにあります。

◆1、泉質
川中温泉の泉質は「カルシウム–硫酸塩泉(石膏泉)」。
温泉成分が肌をベールのように包み込むことで水分をしっかり補給し、しっとり保湿。ベールの効果は保温も兼ねており、血のめぐりが良くなることで、透き通るようなクリアな「美肌」を手に入れることができます。また、カルシウムが豊富な泉質は鎮静効果が高く、にきび、しっしん等の肌荒れにも効能があります。

◆2、pH(ペーハー、ピーエイチ)
酸性、中性、アルカリ性を示すpHですが、川中温泉はpH8.6の高いアルカリ性。これは肌の余分な皮脂・汚れを取ってくてる石けんのようなクレンジング効果があります。そのため、つかるだけでつるんと一皮むけたようなツルツルすべすべ肌に仕上げてくれます。

◆3、湯づかい
そんな素晴らしい源泉も加水や循環、消毒を行うと、その効果は薄れてしまうもの。「かど半旅館」では、加水・循環・消毒のない「かけ流し」という最高の「湯づかい」で、源泉の効能をダイレクトに受け取ることができます。また、源泉温度が34.7度と体温よりも低いため、時期によっては加温は行いますが、それも温めた配管に源泉を通すという鮮度を損なわない自然な方法。加温しても体温ぐらいの湯温のため、いくらでも入っていられる長湯向きな「ぬる湯」です。じっくりゆっくりお湯につかることで、源泉の効能をより得ることができるでしょう。


無色透明の透き通るようなお湯は、かすかな甘い硫黄の香りが漂います。これは鮮度が良い証拠。つるつるすべすべな肌ざわりが心地よく、しばらくつかるとプルっと肌を包み込むような感覚は「美容液」に入っているようです。
湯上りは、その肌ざわりが乗り移ったかのような「すべすべぷるぷる」でハリのある肌を実感できることでしょう。


浴室は男女別の内湯と、混浴の内湯・露天風呂からなる大湯(時間帯で女性専用)の3ヶ所。大湯の露天風呂では、川のせせらぎと山の緑を含んださわやかな風を感じながらの贅沢な湯浴みを堪能できます。


特に女性の方は、「混浴」に対して少し抵抗を感じるかもしれませんが、ここでは日帰り入浴客は受け入れておらず、入浴できるのは全て宿泊のお客様。いつ入っても混みあうこともなく、純粋に温泉が好きで来られている方が多く、マナーもわきまえていらっしゃいます。そして皆さん長湯なので、自然と温泉談議にも花が咲きます。


夜の入浴では、神奈川からいらっしゃったという雰囲気の良いご夫婦と温泉談義に。ここはお肌がすべすべになるし、本当に温泉が好きな人が多いから、混浴でも安心して入れるのよ、という奥様からの話がとても印象的でした。


お待ちかねの夕食は地元の食材をふんだんに使ったメニュー。鯉の洗い、イワナの塩焼き、こんにゃく、上州牛と野菜の蒸し焼き等々、ひとつひとつ丁寧に作られた料理に舌鼓です。家庭的なやさしい味付けは、お腹にもやさしく心までほっこりとします。
2枚目の画像は、群馬の郷土料理「おっきりこみ」。手打ちの太麺を野菜と一緒に、味噌ベースのスープでじっくり煮込んだ料理で、山梨県の名物「ほうとう」にも似ています。
旅館の夕食となると、豪華絢爛で食べきれないほどの量、ということも多くありますが、「かど半旅館」ではほどよい量の健康的かつやさしい美味しさのメニュー。温泉で外側から美しくなるだけではなく、食事で身体の内側からも美しさを手に入れられそうです。


「日本三大美人の湯」に加え、「日本秘湯を守る会」の認定宿という素晴らしい肩書きを持つ「川中温泉 かど半旅館」。そんな名門の香り漂う老舗旅館ですが、初めて訪れてもどこか「懐かしさ」を感じる雰囲気です。「美容液」のようなとろとろの温泉に、地元の食材中心の食事、あたたかく迎え入れてくれる宿のご主人と女将さんのおもてなしも美しく、「温泉」以外にもたくさんの魅力がぎゅっとつめ込まれているアットホームな旅館でした。

小松 歩
Ayumu Komatsu
1987年東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター★)、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。大学の4年間を北海道で過ごし、その間に生死を彷徨う交通事故の後遺症治療で湯治を体験し、温泉に目覚める(知床でドライブ中、ヒグマに衝突し頚椎骨折)。今では全国で2,000湯以上の温泉に入り、入浴剤メーカーに勤務しながら「温泉くん/温泉王子」として執筆活動をしています!